(7)便の異常と大腸がん/出血は腫瘍の可能性も

■相 談■

 排便は毎朝あるのですが、最近は下痢が多くなっています。時々、便に少し血が混じっていることもあります。(55歳、男性)


■アドバイス■

松江赤十字病院第一外科 田窪健二部長
 松江赤十字病院第一外科 田窪健二部長

 排便時の出血は、痔(じ)による場合も多いですが、大腸の病変からの出血も考えられます。便潜血検査や、必要に応じて大腸内視鏡検査を行い、出血の原因を調べます。

 下痢や便秘といった便通異常と出血が見られるときには、大腸の潰瘍(かいよう)や腫瘍(しゅよう)などの可能性があります。40代以上の人で出血がある場合は、がんも念頭に置いて検査します。出血などの自覚症状がなくても、便潜血検査が陽性となったことを端緒に、極めて小さな腫瘍が見つかるケースもあるからです。

 日本人の死因の第1位であるがんの中でも、大腸がんは肺がんとともに増加傾向にあります。患者は女性よりも男性がやや多く、発生頻度は40代から徐々に高くなっています。

 大腸内視鏡検査や、バリウムを使ったエックス線検査は、肛門(こうもん)から内視鏡カメラやバリウムを入れるため、下剤の入った水を飲んで大腸内を空にするなどの前処置が必要です。これらの検査によって潰瘍や腫瘍の有無、良性か悪性かなどを調べます。腫瘍などのできた場所によって結腸がん、直腸がんなどと呼ばれ、大腸がんはそれらの総称です。

 近年、がんの進行度によっては、おなかを大きく切らないで、内視鏡による切除や、腹部に小さな穴を数カ所開けて行う腹腔(ふくくう)鏡手術で腫瘍を取りきれることも多くなっています。外科手術で切除しきれない場合は、放射線治療や抗がん剤を組み合わせます。

 早期の大腸がんの場合は自覚症状が見られることは少なく、腹痛や食欲不振、体重減少が現れるのはがんが進行した段階に多い症状といわれます。便の異常を加齢に伴う症状だと自己判断して、がんを見過ごしてしまうケースも見られます。早期に発見して適切に処置すれば、大腸がんを完全に治すことができるため、定期的に検診を受けることも大切です。

2009年8月19日 無断転載禁止