(8)静止時に手の震え/パーキンソン病の特徴

■相 談■

 最近、じっとしている時に右手が震えるようになりました。緊張すると余計に震えますが、はしを持ったり、字を書いたりする時は震えがなくなります。 (67歳、男性)


■アドバイス■

松江赤十字病院神経内科 清水保孝部長
 松江赤十字病院神経内科 清水保孝部長

 中高年になると、手などの震えが現れてくる場合があります。じっとしている時に出る震えは、静止時振戦と呼ばれ、パーキンソン病の特徴の一つです。動作をしている時に震えが増強する場合は、本態性振戦など、別の原因が考えられます。

 パーキンソン病は、中脳の黒質という部分の神経細胞が変性し、脳からの命令を神経に伝えるドーパミンが不足して神経症状を起こすとされています。手足の震えとともに、体の筋肉が硬くなり(固縮)、一つの動作に時間がかかる(無動)といった症状を伴ってきます。

 静止時に震えが出る症状や発症の経過からほぼ診断がつきますが、似たような症状を来すことがある脳梗塞(こうそく)など他の原因を排除するため、MRI(磁気共鳴画像装置)などの検査を行います。

 パーキンソン病は、高齢化とともに患者数が増えており、日本の発症数は10万人当たり100人と、約20年前の2倍になったという報告もあります。中年以降に起こり、60代から年齢を増すごとに発症頻度が高くなっています。男女差はあまりありません。

 治療は薬物療法が中心で、ドーパミンを補充したり、放出を促進したりする薬などを、個々の症状に応じて服用します。薬剤の進歩によって、運動症状がより改善でき、副作用も抑えられるようになっていますが、根治できる治療法はないため、服用を続ける必要があります。

 動きにくさから歩行ができなくなり、寝たきりになるケースも見られます。動作がしづらくなっても、体操や散歩など自分に合った適度な運動を積極的に続け、体が硬くなるのを防ぐことが大切です。

2009年9月2日 無断転載禁止