(10)あごの痛みと顎関節症/かみ合わせ異常など誘因

■相 談■

 以前から、口を開けた時にあごがカクカクと音がしていました。最近になって、物をかんだ時に耳の前辺りが痛くなってきました。  (25歳、女性)


■アドバイス■

松江赤十字病院歯科口腔外科 酒井博淳副部長
 松江赤十字病院歯科口腔外科 酒井博淳副部長

 これらの症状は、顎(がく)関節症といわれる状態と思われます。顎関節は他の関節と異なり複雑な動きをするため、病気の症状や原因も複雑です。口を開けた時や物をかんだ時の関節およびその周囲の痛み、口の開きにくさ、関節の雑音は、顎関節症の代表的な症状です。

 原因ははっきりとは分かっておらず、いろいろな要素が絡み合って発病すると考えられています。かみ合わせの異常やあごの関節への過度の負担が大きな誘因とされています。「首や肩の凝りが取れない」といった訴えからでも、顎関節症と分かる場合があります。

 顎関節症は、口の開け閉めに必要な筋肉に痛みが生じるタイプ、無理な力が加わって顎関節の周囲の組織が炎症を起こすタイプ、関節をスムーズに動かすための関節円板がずれてしまったタイプがあります。筋肉の緊張やストレスに対して感受性が強いとされる女性に多い慢性疾患です。

 原因や誘因は、かみ合わせの異常のほか、歯ぎしりや食いしばり、左右の一方でかむ癖、ほおづえやうつぶせ寝などによって、顎関節に負担やストレスがかかることが挙げられます。かみ合わせを調べ、歯ぎしりなどの癖について聞き、必要に応じてエックス線検査や関節円板の動きをみるためのMRI(磁気共鳴画像装置)検査を行います。

 治療では、歯ぎしりなどがあるかを探り、習慣的な原因を認識してもらうことが重要です。その上で症状に応じて、顎関節や筋肉への負担を軽減するためのスプリント(歯列を覆う装具)の装着、開口訓練、投薬、関節内洗浄、かみ合わせの改善を組み合わせます。

 顎関節症の場合▽痛みがあるうちは硬い物をかまない▽無理に大きく口を開けない▽ほおづえなどの癖を直す▽あごに負担をかけない-ことが大切です。また、長く使っている入れ歯は、すり減ってかみ合わせが悪くなっていることがあり、注意が必要です。

2009年10月1日 無断転載禁止