(29)石見の夜神楽 軽快な調子に酔いしれ

豪華絢爛の衣装で勇壮な舞を披露し、観客を魅了する石見神楽の「塵輪」=写真はいずれも浜田市金城町、美又温泉
コミカルな所作で客席を沸かせる恵比須の舞
客席まで乗り出した大蛇に観客もびっくり仰天
 石見神楽の魅力とは何か?「お宮の石段を、二段跳ばしで駆け上がりたくなるようなリズムでしょうね」。有福神楽保持者会(浜田市)の佐々木昌延会長(73)は、即座にそう答える。どことなく石見人の気質と重なる。

 言わずと知れた島根県西部の伝統芸能。絢爛(けんらん)豪華な衣装、派手な舞、リズミカルな太鼓や笛が見る者を引きつけてやまない。深まる秋とともに、各地の神社で夜通し奉納される。

 官民でつくる石見観光振興協議会(会長・宇津徹男浜田市長)も、昨年に続き「石見の夜神楽」を企画した。観光資源化の可能性を探る取り組みで、8月の益田市から始まり、11月末まで。先日、浜田市金城町の美又温泉会館で公演をのぞいた。

 開演は午後8時。浴衣姿の宿泊客や地元住民ら約40人が見つめる中、有福神楽保持者会が3演目を披露した。2神2鬼が勇壮、華麗に舞う塵輪(じんりん)、アドリブを交えた軽妙な恵比須(えびす)―。

 そして、トリを務めた大蛇(おろち)は客席まで乗り出し、迫力たっぷり。アッと驚いた観客らは次の瞬間、熱演に盛んな拍手を送り、神楽ワールドに酔いしれていた。

 (文 西部本社報道部・中山竜一、写真 本社報道部・小滝達也)


 有福神楽保持者会 約300年前に発足したと伝えられ、1964年に島根県の無形民俗文化財に指定された。石見八調子神楽を継承し、国内外で公演している。会員数は16人。

2009年10月26日 無断転載禁止