(30)石見畳ケ浦 眼前に広がる古代の海底

夕日に映える石見畳ケ浦の馬の背。古代のロマンを感じさせる=浜田市国分町
桑田さんの指導で理科の課外授業に励む浜田市立松原小学校の児童たち。不思議な地層に興味津々だ
 晩秋の石見畳ケ浦(浜田市国分町)を訪ねた。悠々たる日本海を背に、波に浸食された波食棚と呼ばれる砂岩層が延々と広がり、特有の造形美を形作っている。

 たくさんの畳を敷き詰めたように見えることから、「千畳敷」の別名がある。約1600万年前の地層とされ、隆起と浸食を繰り返した末に誕生した”自然の芸術”だ。

 石見畳ケ浦研究会の桑田龍三会長=浜田市黒川町=は「古代の海底が目の前で観察できる魅力いっぱいの海岸です」という。見渡すと、至る所に腰掛けのような丸い岩が目につく。貝の化石などが含まれるノジュール(団塊)で、貴重な学術資料。化石は幾つも見つかり、取材は驚きの連続だった。

 夕暮れどき、「馬の背」と名付けられた岩山の前に立った。辺り一面に漂う潮の香りが心地いい。雲間から差し込む太陽の光は、潮だまりの水面(みなも)を黄金色に彩り、黒く塗りつぶされた岩肌を重厚に浮かび上がらせた。

 (写真と文 本社報道部・小滝達也)



 石見畳ケ浦 昭和7年、国指定天然記念物に指定。1872(明治5)年の浜田地震で岩礁の東部が隆起して現在の形になった。地質は砂岩、礫(れき)岩の2層からなる。千畳敷近くの洞穴には穴観音があり、海上安全の守り神とされている。

2009年11月2日 無断転載禁止