(52)成長期の筋力トレーニング

筋力トレーニングは、発達段階に合わせて、自重のみの負荷から開始する
過度の負担はデメリット

 大リーグのイチロー選手やテニスの錦織圭選手など世界の一流アスリートは、日々筋力トレーニング(以下、筋トレ)に励み、筋肉や体を鍛えています。一方、成長期にある小中学生にとって、筋トレはどう位置づけたらいいでしょうか。

 小中学生の時期は、運動神経や心肺機能が著しく発達する段階なので、筋トレに主眼を置きません。筋トレによって、成長段階の骨や筋肉に過度な負担がかかると、けがの恐れがあるほか、体の修復にホルモンを費やし、本来の成長が妨げられ、身長の伸びなどに影響を及ぼすためです。

 少なくとも、筋力強化を促すホルモンを出せる状態(高校生以上)になるか、155センチを超えた体格であることが条件で、これを満たしていないと、デメリットの方が大きくなると考えられます。

 また、年齢と成長の関係は個人によりさまざま。17歳前後で思春期が終了するまでは、同年齢の中でも最大2年の成長差があります。例えば、同じ13歳の中には11~15歳に相当する成長期の子どもがいることになります。

 腕立て伏せのデータでは、17歳以上の男子で18回が標準値であるのに対し、10歳男児では7~20回と、3倍近い開きがあります。女子の場合、9~17歳の年齢では7~15回。年齢に2倍の差があっても標準値は変わりません。年齢だけでなく、性別によっても成長差があることが分かります。

 子どもの筋トレは体格や年齢、性別、成長段階を総合的に判断した上で行うことが前提となります。方法としては、バーベルなどで負荷をかけるのではなく、腕立て伏せや腹筋など自分の体重のみの軽い負荷で行うことが大切です。

 加えて、関節に負担をかけない姿勢を心掛けましょう。重りを使った反復動作は、オーバーワークを招き、知らぬ間に発達中の軟骨を傷つけたり、腰痛やひざ痛の原因になったりします。燃え尽き症候群など運動嫌いになる可能性もあるため、指導者側の注意が必要です。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2009年11月5日 無断転載禁止

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