(53)成長期の柔軟性

段差につま先を乗せる足首のストレッチングは、ゆっくり呼吸しながら行う
つま先上げ足首柔らかく

 今回は、子どもの柔軟性について考えましょう。1964年の東京オリンピック開催以来、厚生労働省は、小学生から高校生までの運動能力を年1回、スポーツテストで計測しています。子どもの体は柔らかいものだと思われがちですが、データでは、小学生の柔軟性の低下が目立っています。

 柔軟性は、両足をそろえ、膝(ひざ)を伸ばした状態で、両手の指先を床に着ける「立位体前屈」で測ります。足の裏側の筋肉の状態を調べると同時に、全身の筋肉の硬さ(突っ張り具合)が分かります。

 柔軟性が不足する原因の一つに、子どもを取り巻く環境があるといわれています。外で遊ばなくなったり、洋式の住まいが多くなったため、しゃがむことが少なくなったり、リモコン操作が増えて、家の中での動きが減ったりなど諸説はさまざまです。

 成長期に行う柔軟運動の意味は、成長のメカニズムと関係があります。身長が伸びる時には、まず骨が成長します。それに伴って、骨に付着する筋肉の両端が引っ張られるため、成長期には、筋肉がパンパンに張ります。この時期に、適切なストレッチングの要素を含む運動が足りないと、柔軟性が低下したまま大人になってしまう可能性があります。

 また、運動前のウオーミングアップや運動後のクーリングダウンに行うストレッチングなどは、体の硬さや筋肉の突っ張りが引き起こす障害、痛みなどを予防することができます。

 効果的な足首のストレッチングとしては、入浴して体温を上げた後(シャワー浴では不十分)、敷居や段差につま先を乗せて、1分ほど立ちます。このとき、息を止めず、ゆっくり呼吸をしながら行うことがコツです。足首が柔らかくなると、膝や腰にかかる負担が減り、跳躍力や体の安定性も高まります。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2009年11月19日 無断転載禁止