(31)神西湖(出雲市) 神代から残る荘厳な光景

晩秋の神西湖に沈む夕日。弁天島がシルエットに浮かび荘厳な雰囲気に包まれる=出雲市神西沖町の神西湖東岸から撮影
 空気が澄み渡った晩秋の夕暮れ、出雲国風土記に「神門水海」(かんどのみずうみ)として登場する「神西湖」に立ち寄った。夕日が湖面を染め、鳥居のある弁天島近くに水鳥の群れが見える。

 神西湖は周囲約5キロ、水深約1・5メートルの汽水湖で、出雲平野の西端にある。江戸時代の洪水対策で日本海に注ぐ差海川が開削され、往古のように再び海水が流入するようになった。現在はシジミをはじめ、コイ、フナ、ウナギ、ボラなどの魚介類が生息する。

 南側の山すそ「岩坪」の地は、大国主命の妻、須世理姫(すせりひめ)の生誕地と伝えられる。

 湖面の紅色は徐々に深みを増し、弁天島がシルエットになった。いよいよ落日。出雲神話のヒロインも眺めたであろう荘厳な光景に、心が躍るのを感じた。

 (写真と文 本社報道部・小滝達也)

 神西湖 神西湖の東岸にある親水公園には野鳥観察舎などが整備され、水辺の散策も楽しめる。西岸には湖陵温泉がある。湖上遊覧の屋形船からの眺めは格別で、周辺ののどかな田園風景は「日本の原風景」ともいえる

2009年11月23日 無断転載禁止