(55)子どもの運動時の集中力

プレー時間を計測し、具体的な数字を知ることは、集中力を高めることにつながる
プレー時間測って意識を

 運動パフォーマンス向上のために必要不可欠な3要素は「心・技・体」です。中でも、最終的に勝負を決めるのは、心といわれます。今回は、その心と関係が深い「集中力」について考えます。

 スポーツ大会に足を運ぶと、応援席からかかる「集中して!」の声をよく耳にします。コートやグラウンドに目を移すと、集中した面持ちの選手がいる一方で、疲労と共に注意力が散漫になっている選手も見てとれます。集中力を保つためにはどうすればいいのか-。これはアスリートの永遠ともいえるテーマでしょう。

 具体的な数字が、集中力持続に効果を発揮することがあります。理学療法士として、中学生の県選抜バレーボールチームの練習に参加した時の話。「(バレーボールの)一回の攻防にかかる時間は?」という問いに、選手たちは「30秒から3分」と答えました。

 実際に試合をして、攻防時間をストップウオッチで計測すると、サーブを打ってから、自陣のコートにボールが返ってくるまでに約4~5秒。攻撃に約4~5秒。おおよそワンプレーは10~15秒で終わりました。

 分析すると、約5秒間の集中持続を繰り返していることに気づきます。この5秒間を意識するように指導したところ、最終的に、選手たちはメリハリの利いたプレーができるようになりました。

 また、具体的な数字の効果は、パフォーマンスの維持以外にも波及します。例えば、長い緊張による精神的な疲労を軽減したり、注意散漫から選手同士が衝突して、けがをすることも減ったりするでしょう。数字を意識することは、短期間で見違える程の変化を生みます。

 もう一つのポイントは、夢中になるほど、楽しいことをしているかどうかです。さまざまな運動や文化の体験を通じ、子ども自身が楽しみや喜びを見つけることで、自然に集中力が高まっていくからです。大人が、子どもの興味や関心をサポートすれば、潜在的な力を引き出すことにつながるでしょう。

 (松江総合医療専門学校専任講師・南場芳文)

2009年12月18日 無断転載禁止