(17)陰部のこぶ/骨盤底筋の緩みが原因

■相 談■

 立ち上がると、陰部にこぶのようなものが出ることに気がつきました。痛みはありませんが、病気なのか分からず、不安です。
(70歳、女性)


■アドバイス■

松江赤十字病院泌尿器科 小海力部長
 松江赤十字病院泌尿器科 小海力部長

 相談内容から「膀胱瘤(ぼうこうりゅう)」と思われます。女性の骨盤内にある臓器が下がる「性器脱」の一つ。膀胱が膣(ちつ)の壁を押しながら、こぶ状になって膣口から脱出する状態で、”膀胱のヘルニア”とも呼ばれます。

 自覚症状として、痛みはないものの、「立ち上がると、陰部の辺りに違和感がある」「風呂場でピンポン球くらいのこぶのようなものに触れた」など-で気が付きます。

 膀胱や子宮、膣、直腸などの骨盤内の臓器を、一番底で支える筋肉群「骨盤底筋」が緩んでしまうことが主な原因で、50歳代からの中高年を中心に見られます。特に、重量物の運搬をする習慣がある人や、肥満体質の人は骨盤底に負担が掛かるため、多いとされます。また出産時には胎児が通過し、大きく損傷するので、複数回の出産歴がある人もリスクが高いです。

 実際は、指で押せば、元に戻るケースもあり、病気かどうか分からず放っておいたり、恥ずかしくて受診できずにいる人が多いようです。高齢化が進む山陰では、まだ患者が潜在化していると思われます。

 検査は、エックス線検査と診察で済みますが、重い症状の根治には手術が必要です。従来は骨盤底の緩んだ組織を切除し、縫い縮めたりする手術が主流でしたが、再発率が高い傾向にありました。しかし、2005年ころから、人工の網状のメッシュを膣の粘膜の内側に入れて、膣壁を補強する「TVM手術」が普及しつつあります。アメリカでは年間約20万件行われる手術で、再発率が低下しています。

 この疾患は、命にかかわるものではありませんが、進行すると、こぶし大になって、排尿・排便障害、尿失禁などを引き起こし、QOL(生活の質)が低下します。不安に思ったら、気軽に相談してください。

2010年1月14日 無断転載禁止