(19)心房細動/背景に基礎疾患受診を

相  談

 健康診断で心電図異常を指摘されました。診断書には「心房細動」と明記されていました。ただし、自覚症状は全くありません。      (55歳、男性)

アドバイス

松江赤十字病院循環器内科 城田欣也副部長
 松江赤十字病院循環器内科 城田欣也副部長

 心房細動とは、心臓の疾患で、不整脈の一つ。全身や肺から流れてくる血液を受け入れる”部屋”である心房がけいれんし、規則的に動かなくなる状態をいいます。命にかかわる「心室細動」とは違い、それほど危険度が高い不整脈ではありませんが、基礎疾患が隠れている可能性もあるので、放置せず、受診してください。

 原因は、心臓の動きを制御している刺激伝導系にあります。これは、心臓内に張り巡らされた電気回路のようなもので、この回路が破たんすると、心房内で電気刺激が不規則になり、脈拍の規則性がなくなります。

 心房細動がある患者のうち、自覚症状があるのは3~4割で、無症状であることが珍しくありません。心電図検査を受けた際に、偶然見つかるケースが多いです。

 重要なことは、心房細動そのものより、背景にある基礎疾患の存在を見逃さず、治療することです。心房細動がある患者は、高血圧や糖尿病、心疾患などを抱えているケースが多く、生存率などの生命予後は背景疾患の治療にかかっているともいえます。

 また、脳梗塞(こうそく)の発生リスクが健常者より2~7倍高くなり、生じた場合、死亡率や後遺障害の残存率が極めて高いです。検査結果から「リスクが高い」と診断されれば、適切な予防治療が必要となります。

 治療方針は、個々の状態をみて決定しますが、必ずしも正常な脈に戻さなければならないわけではありません。ただ動悸(どうき)や息切れ、胸痛などの自覚症状が強い場合や、若年患者の場合はQOL(生活の質)低下を防ぐため、正常な脈を維持する治療を選択します。

 最近では、心房細動発生の源が明らかになり、それをカテーテル治療で一部、根治させることが可能になってきました。ただし、難易度や合併症リスクがやや高い治療なので、症例経験が多く、心臓外科を含めた医療スタッフ・機器をそろえた病院に相談してみてください。

2010年2月11日 無断転載禁止