(20)非アルコール性脂肪性肝炎/肝硬変・がんへ進行も

相  談

 普段は飲酒しないのですが、検診で脂肪肝、肝機能障害であると診断を受けました。自覚症状もなく、実感がわきません。(45歳、男性)

アドバイス

松江赤十字病院消化器内科 香川幸司部長
 松江赤十字病院消化器内科 香川幸司部長

 非アルコール性脂肪性肝炎、NASH(ナッシュ)と思われます。肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝の一つで、炎症(肝炎)も併発している状態です。飲酒歴がなく、B型、C型の肝炎ウイルスも検出されないのに、肝機能障害と診断されるのが特徴です。

 自覚症状がなく、ほとんどが検診で見つかります。厄介なのは、普通の脂肪肝とは異なり、炎症を起こしているため、進行してしまう点です。放置しておくと、一部は肝硬変や肝がんになる可能性もあります。検診で指摘されたら、専門医の診察を受けることをお勧めします。

 全国でNASH患者は人口の約1%程度、約100万人に上ると推測されています。以前は、良性の脂肪肝とされ、経過観察する傾向にありました。近年、この疾患の特徴に注目が集まり、研究が進んでいます。

 NASHは肥満(内臓肥満を含む)や糖尿病、高脂血症、高血圧といったメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と合併することが多く、生活習慣病として位置づけられます。ストレスや肝臓への脂肪沈着などの要因が複雑に絡まって発症するとされます。

 検査は、血液検査やエコー(超音波検査)で肝臓の様子を把握し、CTスキャン(コンピューター断層撮影)でさらに細かく調べます。B型、C型肝炎でなく、飲酒を頻繁にしないようであれば、NASHの可能性が高くなります。

 治療は、肥満体質を改善すべく、食事療法と運動療法に取り組みます。加えて、血圧が130をやや上回る程度の高血圧でもNASHの危険因子になるため、できる限り血圧を下げるよう積極的な治療が必要です。

 併せて、薬物療法も行うことがあります。治療薬としては、ビタミン剤など肝臓に有効な治療薬や糖尿病の治療薬を主に使用します。

2010年3月11日 無断転載禁止