(23)胃がん/細菌の感染と食事に関係

■相 談■

 先日、人間ドックの内視鏡検査で胃がんの疑いを指摘されました。胃が痛むなどの自覚症状はありません。濃い味の料理が好きです。  (58歳、男性)



■アドバイス■

松江赤十字病院第2外科 北角泰人部長
 松江赤十字病院第2外科 北角泰人部長

 初期の胃がんには目立った自覚症状がありません。胃は重層構造になっていて、粘膜に色調の変化や潰瘍(かいよう)などがあれば検査で発見されやすいですが、襞(ひだ)の中に隠れているものや、粘膜の表面に変化がなく深部に広がっているものは見つかりにくく、治りにくいのが特徴です。

 胃がんへの関連が注目されているのが、ヘリコバクターピロリという細菌です。生活環境の変化により、若年者の感染率は低下傾向にありますが、50代以上は60%を超えています。今後、高齢者を中心に胃がんの罹患(りかん)率は現状のまま推移すると予測されています。食事も大きい因子の一つで、ヘリコバクターピロリの感染者が塩辛いものを食べると、がんになる確率が高くなります。

 検査で胃がんが確認されると、がん細胞が胃の壁をどれほど貫いているか、リンパ節や他臓器への転移があるかどうかによってステージを分類します。個人差はありますが、粘膜内にとどまっている期間は長く、がん細胞が増殖して深部に広がると成長速度が速まります。早期がんの生存率は90%で、ステージ■(ローマ数字の「3」)になると下がってしまいます。そのため、早期発見、治療が重要です。

 治療法は、がん細胞が粘膜より深部に広がっているか、分化型かどうかによって変わります。早期がんで粘膜内にとどまっているなら内視鏡による切除で完治できる可能性が高く、深く広がっていれば開腹手術や腹腔鏡下手術で治療します。最近は治療の選択肢が増え、体への負担も少なくなってきました。

 一般に胃がんはがんの発見から終末期までに10年を超える経過をたどると推定されています。そのため、予防には規則正しい生活と栄養バランスの取れた食事、適度な運動を心掛け、定期的な検診できっちりと調べ、早期発見、治療することが大切です。

2010年4月8日 無断転載禁止