石見銀山「渡辺家住宅」の復元完了

復元工事が完了した国史跡・渡辺家住宅。左奥は日本料理店=大田市大森町
 世界遺産・石見銀山遺跡(大田市)に関連する史跡で、昨年7月から同市教育委員会が保存修理工事を行っていた同市大森町の国史跡「渡辺家住宅」の復元工事が3月末に完了。29日から一般公開され、隣接地で和食を提供する日本料理店が同日から営業を開始する。

 同住宅は、江戸後期の1811(文化8)年に建てられた銀山付地役人の居宅で、同町の銀山地区内に唯一現存する武家屋敷。母屋は木造瓦ぶき一部2階建て、延べ床面積約223平方メートル。土塀を巡らせて前庭を設け、奥に母屋や土蔵を配置する当時の武家屋敷の特徴を伝えている。

 市は同住宅の活用策として、東京都内で日本料理店などを展開する豆本舗(香美律子代表)にことし1月から5年間、有償で貸し出し。豆本舗は隣接地を購入し、同住宅の離れとして母屋と行き来可能な日本料理店「銀の里 咄々庵(とつとつあん)」を新築。公開に合わせて営業を始める。

渡辺家住宅の「かぎの間」を見る熱田慎治さん
 同市教委は08年8月から、同住宅を戦前ごろの状態に復元するため、約10カ月間かけて調査。昨年7月から約1億3千万円をかけて保存修理の復元工事を実施した。

 復元工事では、1967年の改修時に実施された屋根の一部などを撤去。屋敷全体をいったん解体して持ち上げ、屋敷の土台基礎部分から江戸時代から明治時代に使われた工法で武家屋敷を再現。使用されていた石州瓦を極力活用し、木材も杉やベニヤ材を当時使われたマツやケヤキに戻した。

 当時使われた四角くぎや木の組み方などの工法跡は残し、見学者が見ることができるよう配慮した。29日からの公開では、当面は母屋の一部公開を予定している。復元作業に当たった1級建築士の熱田慎治さん(48)=同市久手町=は「当時の工法痕跡を見てもらいたい」とした。

 公開時間は当面、午前10時~同11時。入場無料。咄々庵の営業時間は午前10時半~午後9時まで。年中無休。問い合わせは咄々庵、電話0854(89)0205。

2010年4月24日 無断転載禁止