(26)甲状腺機能低下症/代謝促すホルモンが減少

松江赤十字病院糖尿病・内分泌内科 垣羽寿昭副部長
相  談

 うつ病のような症状があり、精神科を受診しました。検査の結果、甲状腺機能が低下している疑いがあると診断されました。 (38歳、女性)

アドバイス

 松江赤十字病院糖尿病・内分泌内科 垣羽寿昭副部長

 甲状腺疾患は若い女性に圧倒的に多い病気です。甲状腺ホルモンの分泌が不足して起こるのが、甲状腺機能低下症です。

 原因はいくつかありますが、ほとんどが慢性甲状腺炎によります。これは橋本病ともいわれ、自己免疫疾患の一つです。体内にできた抗体が甲状腺の細胞や組織を壊し、だんだんとホルモンが出なくなることで、身体機能も低下していきます。反対に、ホルモンの分泌が過剰になるのが甲状腺機能亢(こう)進症で、バセドー病が代表的です。

 甲状腺ホルモンは全身に作用して新陳代謝を促します。不足すると▽体が疲れやすい▽気分が落ち込む▽皮膚の乾燥▽便秘▽むくみ▽体重増加-など、さまざまな症状を引き起こします。そのため、高コレステロール血症や肝機能の異常、うつ病の疑いなどで各科を受診し、甲状腺の異常が見つかることがあります。

 のどのあたりが腫れていれば分かりやすいのですが、萎縮(いしゅく)している人もおり、見た目だけでは判断できません。血液検査でホルモン濃度を測定し、抗体の有無をチェックします。加えて、超音波検査で異常がないかを調べます。

 治療は、内服薬で不足しているホルモン量を補います。一時的な服用ですむ場合もありますが、一生飲み続けることがほとんど。適正に内服されれば副作用の心配はありません。食事については、ワカメや昆布など海藻類の食べ過ぎに注意しましょう。海藻類は甲状腺ホルモンの主原料となるヨード(ヨウ素)を多く含むため、過剰に摂取するとホルモンが正常に合成できなくなります。

 甲状腺疾患は目立った自覚症状がない場合も多く、気付かず放置されていることがありますが、重症化すると全身の代謝に影響し、ひどいときは意識不明や呼吸困難になることもあります。簡単な血液検査ですぐに発見できるので、気になる人は一度受診しましょう。

2010年5月27日 無断転載禁止