(66)骨盤の動き(下)

お尻歩きで骨盤の周りの筋力を強化する
柔軟性維持へ筋力強化

 骨盤の動きを取り戻すストレッチングなどによって骨盤の柔軟性が回復し、姿勢が改善されると、腰の痛みや違和感は取り除かれていきます。しかし、その効果を持続させるには、骨盤の周りの筋力を強化することが必要となります。

 ヒトは生まれてくると直ちに地上の重力に打ち勝つための発達を開始します。それは、赤ちゃんがうつぶせの状態から首を起こそうとするときの動きを見るとよく分かります。ヒトの体は筋肉によって重力に逆らい、支えられて動いています。筋肉は「体自体を支える」と「手足を動かす」という、二つの役割に分類されるのです。

 手足を動かす筋肉は、比較的体の表面にある大きな筋肉で、疲労を起こしやすい特性があります。一方、重力に対して体を支える筋肉は骨近くの深いところにあります。常に姿勢を安定させて睡眠中にだけ休み、疲労しにくい特性を持ちます。支える筋肉が弱まると、姿勢を安定させようと、体を動かす筋肉が余分に働くようになります。肩や首が凝る、立位体前屈で手が床に届かないという方は、支える筋肉が弱まってきているのかもしれません。

 骨盤を固定する筋肉は「支える」タイプです。腰痛や背の変形がなく比較的若い方は、腹筋で強化できます。そのほかの方法としては、あおむけに寝て、かかとと両肩を支点に床から骨盤を少し浮かせ、呼吸しながら10秒ほど静止させます。これを1日に10回行いましょう。

 腰や背中の調子が十分でない方は、じゅうたんなど抵抗のある床に足を伸ばして座り、お尻歩きの前進と後退を5回ずつ繰り返します。腕を組むと負荷が強まります。いすに腰かけて行うこともできます。

 まずは3週間続けることを目指し、毎日少しずつ実行しましょう。

 (松江総合医療専門学校理学療法士科専任講師・南場芳文)

2010年6月3日 無断転載禁止