(28)膝の前十字靱帯損傷/慢性化すると関節変形

松江赤十字病院整形外科 岩佐潤二副部長
 相  談

 バレーボールの試合でジャンプの着地に失敗し、膝(ひざ)を痛めました。腫れは引きましたが、頻繁にガクッと膝崩れが起き、怖くてバレーボールができません。  (17歳、女性)


 アドバイス

 松江赤十字病院整形外科 岩佐潤二副部長

 スポーツ時、骨や筋肉、関節、靱帯(じんたい)に急激に負荷がかかり、骨折や脱臼、断裂が起きることをスポーツ外傷といいます。

 代表的なものの一つが膝の前十字靱帯損傷です。ジャンプの着地や踏み切り、急停止、急な方向転換など、膝がねじれを強制されて生じます。15~19歳の女性に比較的多く、バレーボールやバスケットボール、ハンドボール、サッカーなどの競技でよく見られます。女性で、全身の関節弛緩(しかん)性のある人や膝の周囲の筋力が低下している人は、特に注意が必要です。

 主な症状は膝崩れや不安定感です。日常生活に支障がなく、ねんざだと見過ごされがちですが、徐々に関節周囲の筋力が落ち、半月板や関節軟骨の損傷を併発して痛みだします。進行すると痛みが持続し、歩行や階段の上り下りに支障を来すことがあります。慢性化すると関節の変形につながるので、早期の診断が重要です。

 診断には磁気共鳴画像装置(MRI)が有効です。治療は非常に軽傷の場合を除き、膝の屈筋腱(けん)を移植する靱帯再建術を行います。関節鏡という内視鏡を使う手術で、体への負担がかなり少なくすみます。症状によりますが、術後6~9カ月程度でスポーツに復帰できます。

 膝関節には体重の3~7倍もの荷重がかかっており、痛めやすい部位です。けがの予防には▽天候や地面のコンディションに合った服装▽練習前後に10~15分程度のウオームアップとクールダウン▽的確な技術の習得▽練習をしすぎないこと-が大切です。

 スポーツで膝を痛めると長期間にわたって痛みを患う危険があり、復帰も脅かされます。日ごろからけがに注意し、痛みを感じたときはすぐに運動をやめ、早めの受診を心掛けましょう。

2010年6月24日 無断転載禁止