(29)舌がん/転移の危険、早期受診を

松江赤十字病院耳鼻咽喉・頭頸部外科 中村陽祐医師
 相  談
 1カ月以上前から舌の右側の縁に口内炎ができて治りません。舌にただれができていて、痛みもあります。あごの下が腫れたようにもなっています。舌がんではないかと心配です。 (59歳、男性)


 アドバイス

 松江赤十字病院耳鼻咽喉・頭頸部外科 中村陽祐医師

 舌がんは口腔(こうくう)内に発生するがんの代表的なもので、中高年以上の男性に多い病気です。過度の飲酒や喫煙といった環境要因のほか、入れ歯やかみ合わせが悪くて生じた傷など慢性的な刺激による粘膜の損傷でできることがあります。

 主な症状は、舌が白みがかったり、深くただれて表面がでこぼこになったり、硬くなったりします。痛み、出血、強い口臭を伴うこともあります。単に口内炎や、舌が汚れで白っぽくなる舌苔(ぜったい)だと思って見過ごしがちですが、病変ががん化している場合があります。

 首のリンパ節に腫れがあると、がんが深部に広がっている可能性もあります。舌の周囲は鼻やのどなど臓器が密集し、腫瘍(しゅよう)が広がりやすく、転移しやすい場所です。症状が続くときは早めに受診し、進行させないことが大切です。

 リンパ腫や、舌の色調が変化する白斑症など、舌がんと類似した疾患は多くあります。診察では視診や触診をし、最終的に病理検査で病気を特定します。エコーやコンピューター断層撮影(CT)を使った画像検査で腫瘍の広がり、首のリンパ節への転移がないかを調べ、がんの疑いがあれば全身への転移も確認します。

 治療は主に手術で病変を切除し、放射線治療や化学療法を併用することもあります。腫瘍の広がりによって切除範囲は変わり、舌の再建術を伴うこともあります。術後は嚥下(えんげ)などの機能を維持するためにリハビリを行います。

 舌がんは首のリンパ節や他臓器に転移しやすく、早期発見、治療が重要です。日ごろから規則正しい生活と口内衛生を心掛け、舌や周辺で気になる症状がある人は早めに専門医に相談しましょう。

2010年7月8日 無断転載禁止