(30)リンパ節の腫れ/原因に感染症やがん転移

■相 談■

 首のリンパ節が腫れてしこりのようなものがあり、1週間ほど続いています。何かの病気でしょうか。  (72歳、男性)


■アドバイス■

松江赤十字病院総合診療科 大居慎治部長
 松江赤十字病院総合診療科 大居慎治部長

 体内には血管と同様にリンパ管が張り巡らされ、管の所々にあるリンパ節は、細菌などの感染を防ぐ免疫に重要な役割を果たしています。多くは体の奥にありますが、あごの下や首、腋窩(えきか=脇の下)、太ももの付け根付近のそけい部にあるリンパ節は体の表面近くに集まり、正常なときでも触れることがあります。

 腫れの病的な原因はさまざまですが、代表的なものが四つ挙げられます。一つはウイルスなどの感染症で、発熱に伴って全身のリンパ節が腫れます。18歳前後の人は食べ物の口移しやキスなど経口感染する「伝染性単核症」であることが多く、ほとんどがすぐに治ります。

 二つ目は局所の炎症が近くの所属リンパ節に波及したものです。結膜炎になると耳の前側、のどに炎症が起こると首の前側、歯が痛むと下あごが腫れます。猫に引っかかれて傷口から細菌が入る「猫ひっかき病」では手に傷ができると腋窩が、脚はそけい部が腫れます。

 三つ目は、がんの転移です。外から触れることは少ないですが、胃がんの人は左の鎖骨上部、乳がんの人は腋窩のリンパ節に転移しやすく、腫れやすい場所です。

 四つ目は、悪性リンパ腫など血液の病気で、局所の炎症がなく、急性でもないときに疑います。悪性リンパ腫と診断される人は少ないですが、研究が進み、放射線治療や骨髄移植など治療法も確立されてきました。

 診察では腫れの近くにある炎症個所を確認し、コンピューター断層撮影(CT)や陽電子放射断層撮影装置(PET)で腫れの大きさや状態を確認します。いずれの場合も原因となる疾患の治療が必要で、腫れが引かない場合はリンパ節を切除し、病理学的な検査で確定診断します。

 リンパ節の腫れはさまざまな原因で起こりますので、違和感が続く場合は受診してみるとよいでしょう。

2010年7月22日 無断転載禁止