(31)智歯周囲炎/親知らずの痛み、抜歯で治療

■相 談■

 数日前から奥歯のあたりが痛み、ほおが腫れています。親知らずを抜いたほうがいいのでしょうか。     (28歳、女性)


■アドバイス■

松江赤十字病院歯科口腔外科 大竹史浩医師
 松江赤十字病院歯科口腔外科 大竹史浩医師

 親知らずとは歯列の最後に生えてくる第三大臼歯のことで、正式には智歯(ちし)といいます。15歳ごろから生え始めますが、歯磨きや歯間ブラシなどを使っても清掃が行き届きにくい場所にあるため、細菌が繁殖して智歯周囲炎を起こしやすくなっています。

 現代人は智歯が生える余地が狭くて小さく、歯肉が歯の表面を覆ったままだったり、位置が異常だったりすることが多くなりました。このような歯は周囲の歯肉との間に歯周ポケットができやすく、清掃も行いにくいので、細菌などで形成されたプラークが付着停滞し、炎症が起こります。

 歯の周囲の歯肉にのみ炎症が起こっている初期の段階では、歯肉が赤く腫れたり、何もしなくても痛んだりします。症状が進むと近くのリンパ節が腫れて痛みだし、あごの骨の周囲にある軟組織に及ぶと筋肉性開口障害を来して口が開けにくくなります。

 さらに、扁桃(へんとう)周囲炎や、組織のすき間に炎症が広がる蜂窩織(ほうかしき)炎、のどの奥にうみがたまる翼突下顎隙膿瘍(よくとつかがくげきのうよう)を起こすことがあり、発熱などの症状も伴います。また、あごの方へ進展すると顎骨(がっこつ)炎を引き起こします。

 治療では、炎症している部分を洗浄し、抗生剤や鎮痛剤によって痛みを鎮めてから抜歯を行います。智歯が水平に生えているときは、まず粘膜を切開してはがし、歯冠部と歯根部を切断してから抜きます。場合によっては、さらに歯根部分を切断して抜歯することもあります。個人差はありますが、術後はすぐに飲食ができます。

 智歯周囲炎になると、痛みが治まっても炎症を繰り返すことが多いので、早めの受診を心掛けましょう。

2010年8月5日 無断転載禁止