(40)米子市立山陰歴史館(YONAGOSHIRITSUSANINREKISHIKAN)米子市中町 時代の粋集めた商都の顔

ライトに照らされ幻想的に浮かび上がる米子市立山陰歴史館。スローシャッターで写し込んだ車のテールランプが、彩りを添える=米子市中町
 赤れんが風の重厚な外観に、商都・米子の顔としての風格が漂う山陰歴史館。夜間はライトアップされ、国道9号沿いに幻想的に浮かび上がる。元は1930年に建設された市庁舎だったが、老朽化が進み、82年の新庁舎移転に伴い再スタートした。

 設計者は、建築家で工学博士の故佐藤功一氏ら。佐藤氏は早稲田大に建築科を創設し、国の重要文化財となっている大隈記念講堂も手掛けたことで知られる。

 建物は地盤が軟らかいのを考慮して、地震に強い近世欧米式「鍵の手造り」で施工された。鉄筋コンクリート3階建てで、工費は21万5千円。当時の市の予算に匹敵する資金が投入された。

 鉄枠にガラスをはめ込んだ玄関の扉を開け、足を踏み入れた。レトロな雰囲気に浸りながら2階の市長室跡を訪ねると、歴代市長が使った机、いすがそのまま残されている。館内には多数の歴史・民俗資料をはじめ、米子城跡、目久美遺跡の資料や出土品、二・二六事件で処刑された西田税ゆかりの品々を展示。伊藤創学芸員は「今後も貴重な建築物を守り、広く活用していきたい」という。

 夕闇を待って国道脇にカメラを据え、スローシャッターで撮影した。行き交う車のテールランプも帯状に写し込む。いかめしい殿堂は、黒いキャンバスに描かれた西洋画のようだった。

 山陰歴史館 JR米子駅から徒歩で約10分。バス便は駅前ターミナルから、各方面行きの「市役所前」で下車する。1977年に米子市指定有形文化財。開館時間は午前9時半~午後6時。休館は火曜日、年末年始。

2010年8月16日 無断転載禁止