(32)ハチ刺傷/気道確保し早めに病院へ

松江赤十字病院救急部 佐藤真也部長
相  談

 山仕事をしていてスズメバチに刺され、しばらくするとじんましんが出て息苦しくなりました。スズメバチに刺されたのはこれで2度目です。  (43歳、男性)

アドバイス

 松江赤十字病院救急部 佐藤真也部長

 ハチ刺されが原因で起こる急性アレルギー反応をアナフィラキシーといいます。花粉症やアレルギー性鼻炎のように部位が限定されるのではなく、全身に急激に症状が現れるのが特徴です。原因となる物質はハチ毒のほか、そばや小麦など食物、薬物があります。

 一度ハチに刺されてしまうと、2回目以降はハチ毒に対して体の免疫機能が過剰反応するようになります。虫さされのように皮膚が腫れて痛むだけでなく、じんましんが出たり皮膚が赤くなったり、口腔(こうくう)粘膜が腫れたりするといった症状が出ます。重症化すると、めまいや呼吸困難、血圧低下や意識障害などのショック症状(アナフィラキシーショック)を伴うことがあり、場合によっては命の危険にかかわります。

 症状は数十分のうちに現れ、重いほど早く出ます。このような症状になったときは、まず窒息を避けるために気道を確保し、早めに病院へ搬送することが大切です。病院では点滴や酸素投与を行い、アドレナリンを注射して症状を和らげます。改善には個人差がありますが、1~2日は入院して経過を見ます。

 アナフィラキシーになったことがある人やハチに刺されやすい場所で働く人は、再びハチに刺されたときに症状が重くなる可能性が高くなります。そのため、応急処置としてアナフィラキシーの症状を緩和できるアドレナリン自己注射を処方し、携帯を勧めています。

 夏から秋にかけてはスズメバチの活動が活発で、被害が大きくなりやすい時季です。ハチに刺されやすい場所にはなるべく近づかないようにしましょう。万が一、刺されたときは、すぐに病院を受診しましょう。

2010年8月19日 無断転載禁止