(33)自然気胸/胸の痛みと息切れ突然

松江赤十字病院呼吸器外科 磯和理貴部長
松江赤十字病院呼吸器外科 磯和理貴部長

 相  談

 就寝中、急に左胸が痛み、息苦しくなりました。すぐに治まりましたが、同様のことが時々起こります。
 (20歳、男性)

 アドバイス

 急な胸の痛みと息切れは気胸の特徴的な症状です。気胸とは、肺に穴が開いて空気が漏れ、肺が縮んだ状態をいいます。事故などで肺に鋭い物が刺さって起こる外傷性気胸もありますが、ほとんどが日常生活で突然生じる自然気胸です。運動時でも安静時でも関係なく症状が出ます。

 中でも特に多いのが、原発性自然気胸です。肺の一部にブラという風船のように膨れた膜ができ、それが破裂して起こります。男性の発症率は女性の約6倍で、主に10~20代の若くて背が高い男性によく見られます。50~60%の人が再発します。

 また、何らかの肺疾患に伴って発症する続発性自然気胸があります。嚢胞(のうほう)性肺疾患や肺がん、ぜんそくなどにかかるとだんだんと肺が傷んで弱り、穴が開きやすい状態になってしまうためです。60~70代の高齢者に多いのが特徴で、たばこが大きな原因の一つです。

 肺に開いた穴はしばらくすると自然にふさがることもあり、軽度であれば特別な治療をせず、経過を観察します。中等度以上の場合、胸のすき間にたまった空気を針を刺して脱気するか、細い管を入れ、空気を持続吸引するドレナージを行います。

 それでも空気漏れが続いたり再発したりした場合は、胸腔(きょうくう)鏡下手術でブラを取り除きます。ただし、片側の肺を摘出した人や肺疾患がある人は命の危険を伴うため、すぐに手術できないことがあります。

 術後間もない人は、気圧の変化で肺に負担が掛からないよう、飛行機に乗ったり海に潜ったりすることは控えたほうがいいでしょう。気胸と診断を受けたことがある人も再発する可能性があるので、注意が必要です。

2010年9月2日 無断転載禁止