(34)肥満と乳がん/閉経後は罹患率高く

■相 談■

 閉経してから太ってしまい、生活習慣病が心配です。肥満では乳がんにもなりやすいと聞いたのですが、大丈夫でしょうか。 (63歳、女性)


■アドバイス■

松江赤十字病院乳腺外科 曳野肇副部長
 松江赤十字病院乳腺外科 曳野肇副部長

 肥満は糖尿病や高脂血症などの生活習慣病を連想しやすいですが、乳がんの罹患(りかん)率が高くなることも指摘されています。

 日本では、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)の25以上を肥満とします。女性では25~30の軽度肥満が多く、30以上の高度肥満は全体のわずか3%です。しかし、欧米人に比べて肥満に対する抵抗力が弱いため、軽度でも、肥満合併症といわれる生活習慣病の発症率が2倍以上とされています。

 肥満は内臓脂肪がたまりやすい男性型肥満と皮下脂肪がつきやすい女性型肥満に分けられますが、女性も閉経後には性ホルモンの影響で内臓脂肪が増えてきます。また、加齢とともに肥満者の割合は増加し、60歳以上の女性では30%を超えます。内臓脂肪はエネルギー貯蔵だけでなく、体内の代謝や環境にかかわる物質を分泌しており、その物質の一つ、アディポネクチンが肥満合併症に関係しているようです。

 乳がんに肥満が関連するのは、特に閉経後です。閉経すると女性ホルモンは卵巣ではなく、主に脂肪細胞で作られます。肥満で女性ホルモンの値が高くなると、それを栄養分として増殖するタイプの乳がんが増えます。一方で、肥満の方は女性ホルモンに関係ない乳がんにもかかりやすいといわれています。最近の研究では、先ほどのアディポネクチンが乳がんの罹患にかかわっていることが分かってきています。

 内臓脂肪は甘い物の過剰摂取や運動不足、ストレスなどでたまりやすいものの、運動などで減りやすいことも特徴です。食事はよくかんでゆっくり食べ、間食を少なめにしましょう。また、週に2~3時間程度の散歩など定期的に体を動かしましょう。これらは生活習慣病だけでなく、乳がんの予防にも効果が期待できます。

2010年9月16日 無断転載禁止