(35)妊娠中の腹痛/鑑別困難早めに相談を

松江赤十字病院 第二産婦人科 真鍋敦部長
 相  談

 現在、妊娠28週です。朝から下腹部痛が治まらず、心配です。

(33歳、女性)


 アドバイス

 松江赤十字病院 第二産婦人科 真鍋敦部長

 妊娠中の腹痛には子宮自体の痛み、腸管の炎症や尿管結石などによる痛みがあり、鑑別は難しい場合があります。痛む部位、程度、性器出血や胎動の有無などをポイントに診察します。

 足の付け根から下腹部にかけての突っ張ったような痛みは、妊娠中期までに多い症状です。子宮が大きくなって筋肉が緊張したり、靭帯(じんたい)が引っ張られたりして起こります。性器出血や強い痛み、持続する痛みがあるときは受診が必要です。

 子宮筋腫の変性や卵巣のう腫の茎捻転(けいねんてん)が生じると、激しい下腹部痛に見舞われます。ほかに虫垂炎や腸炎、尿管結石などでも腹痛が起きます。いずれも緊急を要する疾患です。

 妊娠後期には子宮が収縮しておなかが張るような痛みを感じます。1日数回程度ですぐに治まれば様子を見ますが、1時間に何回も痛む▽痛みが強い▽性器出血がある-などは早産の危険があり、受診が必要です。

 常位胎盤早期剥離(はくり)は母児ともに危険が高く、最も緊急を要する合併症の一つです。胎盤が子宮からはがれて血腫が形成され、突然強い腹痛と性器出血が生じます。血腫が小さければ腹痛は軽度ですが、子宮が頻回、持続的に収縮し、胎動も少なくなります。血腫が大きくなると子宮全体に痛みが広がり、子宮が硬くなります。胎児死亡や血が止まらなくなる播種(はしゅ)性血管内凝固症候群(DIC)を引き起こすため、一刻も早い対応が必要です。

 もう一つは溶血、肝酵素の上昇、血小板減少を伴うHELLP(ヘルプ)症候群です。進行するとDIC、肝不全に陥り致命的になります。妊娠高血圧症候群(旧妊娠中毒症)に関連して妊娠後期に発症し、胃や上腹部の痛み、だるさ、吐き気などの症状が現れます。

 妊娠中は定期的な妊婦健診を欠かさず、出血や、おなかの痛みや張りが続くなどの異常を感じたら、早めに医師や助産師に相談しましょう。

2010年9月30日 無断転載禁止