(38)緩和ケア/患者と家族の苦痛を軽減

■相 談■

 緩和ケアを受けている知人がいます。どういう医療でしょうか。


■アドバイス■

松江赤十字病院精神神経科 室津和男部長
 松江赤十字病院精神神経科 室津和男部長

 緩和ケアとは、がんなど、生命を脅かす重い病気を背負った患者やその家族の苦痛を取り除く医療のことを言います。

 苦痛には、身体的なもの、不安や怒りなど精神的なもの、仕事や経済的なことにかかわる社会的なもの、生きている意味を問うたりする実存的なものがあります。そうした全人的苦痛を和らげるために、さまざまな医療スタッフが力を合わせます。

 治療がどうにもならなくなった段階で行う終末期の医療だと思われがちですが、現在は、病状の早い段階から、治療と並行して行うことが大事だと考えられています。治療か、緩和ケアか-の二者択一ではないということです。

 当院は、専門の病棟はありませんが、精神科や麻酔科などの医師、看護師、薬剤師、社会福祉士など多職種で構成される緩和ケアチームがあり、主治医の要請に基づき、緩和ケアに取り組んでいます。「病状を告知したが、精神的にショックを受けておられる」と主治医が協力を要請することもあれば、患者、家族がインターネットなどで緩和ケアについて調べ、自ら要望することもあります。

 医療用麻薬などで身体的な痛みを和らげながら、患者や家族の思いに耳を傾け、不安が強ければ必要に応じて安定剤を処方したり、外出や外泊など患者、家族の希望があれば、応えられるよう努めます。たとえ治癒が望めなくなったとしても、残された日々を穏やかに、その人らしく過ごせるように、何ができるのかを一緒に考えていきます。

 緩和ケアでは患者同士の支え合いも重要。同じ病を背負った仲間の励ましは大きな力になります。当院をはじめ、県内の病院や地域には数多くのがんサロンがあり、患者の支えになっています。

2010年11月11日 無断転載禁止