(42)麻酔医の仕事/手術患者の全身状態管理

■質 問■

 麻酔科の医師はどのような役割を担っているのでしょうか。


■回 答■

松江赤十字病院麻酔科 小川肇部長
 松江赤十字病院麻酔科 小川肇部長

 麻酔科医の仕事と言うと、多くの人が「麻酔をかけること」と思うでしょう。その通りですが、それだけではありません。「周術期の全身管理」、つまり、手術の際に患者さんの全身状態を把握して安全を守ることが、大きな役割です。

 麻酔には、全身麻酔と、半身麻酔や部分麻酔とも呼ばれる局所麻酔があり手術の内容や患者さんの状態によって、麻酔の内容を決めます。専門医が担うことで、より適切な麻酔管理ができます。

 「麻酔から覚めなくなることはないか」と心配する人もありますが、麻酔の技術や薬は日々進歩し、とても安全なものになっています。ただ、危険が全くないわけではありません。2000年の全国調査では、麻酔科医のいる病院で、麻酔管理が原因となって生命が失われたケースは10万件に1件の割合でした。

 一方、「手術中に覚めることはないか」との声もよく聞きますが、麻酔薬は最初に投与して終わりではなく、定期的に投与するか、持続的に投与するのが基本。もし手術が長引けば、麻酔薬を追加するので心配はありません。

 こうした麻酔管理をはじめ、患者さんの脈拍や血圧、呼吸などの全身状態を観察し、対処するのが「全身管理」です。手術中や術後にモニターなどをチェックし、必要に応じて呼吸のコントロールや輸血の指示などを行います。

 また、手術に際して、リスク等を主治医と一緒に考えるのも麻酔科医の役割です。患者さんの年齢や体力、ほかの持病などを考慮に入れながら、手術に耐えうるのかといったことを第三者的な立場でアドバイスし、適切な判断ができるよう心掛けています。このほか、集中治療室での重症患者さんの全身管理や、緩和ケアチームの一員として、痛みを和らげる治療にも取り組んでいます。

2011年1月13日 無断転載禁止