<16>角のない個性的な鬼瓦

松江城天守にかつて飾られていた古い鬼瓦。松江城の鬼瓦は角のない個性的な面相が特徴という=写真はいずれも松江市殿町、松江城
天守に展示されている中で最も大きい鬼瓦。長さは約50センチある
天守付櫓屋根の西側に飾られた鬼瓦
先端の断面に「三つ葉葵」の紋が入った鳥衾
 鬼瓦は魔よけとして屋根の棟の端に飾られる。松江城天守の鬼瓦は、鬼というわりには、どこかユーモラスだ。つり上がった目に、広がった鼻、裂けた口…。鬼の条件を満たしているようで、さほど怖くないのは、角らしい角がないせいかもしれない。

 松江城の鬼瓦は各層や付櫓(つけやぐら)の屋根の突端に、合わせて22枚ある。半分以上が1950年代に行われた昭和の解体修理工事の際にも取り換えられることなく、古くから城を守り続けている。

 一方、天守の2階には、昭和の修理時に破損していたため、お役御免となった古い鬼瓦が3枚展示されている。鬼瓦22枚について「各面相は一つ一つ異なっていて、その表現が独創的、創作的な手法であることと、角のないのが特色」と説明文にある通り、3枚の顔つきも大きさもそれぞれ異なっていて面白い。

 鬼瓦には鳥衾(とりぶすま)と呼ばれる瓦がつきものである。鬼瓦の後ろから上部に置く円筒状の瓦で、松江城では先端部に、築城時の「五三桐(ごさんのきり)」の紋が入ったものと、松平家の代に補修された「三つ葉葵(あおい)」の紋が入ったものの2種類がある。

 松江城の鳥衾は、ちょんまげのまげや烏帽子(えぼし)のようにも見える形状がユニーク。昭和の修理工事報告書(1955年)には「一見珍奇な格好で、鬼瓦の後部より頭部への鎌頸(かまくび)のごとく頭を持ち上げている」と記されている。

 屋根の最上層にある鯱鉾(しゃちほこ)ほど目立ちはしないが、鬼瓦と鳥衾も松江城らしさをつくる味のある存在となっている。


2011年2月21日 無断転載禁止