出雲・平田中 東日本大震災支援活動

音楽を通して支援の輪を広げよう―と吹奏楽部が愛宕山で開いたチャリティーコンサート
 若い力で復興手助け

 チャリティーコンサートも

 「被災地で何が起きているか考えよう」「私たちができることをしよう」。東日本大震災が起きると、出雲市立平田中学校の生徒たちはすぐに支援活動に動き始めた。被災地に向けたメッセージや短歌を書いて発信したり、街頭で募金活動をしたり、吹奏楽部や合唱部はチャリティーコンサートを開催して募金を呼び掛けたりするなど、精力的な活動を展開した。こうした中学生たちの行動に、全国各地から共感の声が次々と届いている。

 真っ先に声を上げたのは、修学旅行で阪神淡路大震災の被災者を取材して新聞を作った「防災コース」の生徒たちだった。取材の経験をもとに、被災地でどんなことが起きているかを想像して、全校生徒に向けたメッセージを書き、3月14日、学年通信にして全校に配った。

 16日、2年生は総合的な学習の時間で震災について学習した。1時間目は、震災の様子を映像で見た。2時間目は、新聞記事を読み、心に残る部分を書き出した。3時間目は、生の声を直接被災地に届けようとメッセージや短歌を書いた。平田中から発信されたメッセージは、関係者を通して東北地方をはじめ全国各地に送られ、返信も届き始めた。


街頭に立ち、市民に募金を呼び掛ける生徒たち
 街頭で募金呼び掛け

 募金活動をしたいという声も強く、生徒会を中心に春休みの間に準備を進め、4月16日、17日、70人余の生徒が市内3カ所の大型店で募金活動を行った。被災地を見舞う短歌を載せたチラシを配りながら募金を呼びかけたところ、34万円余の義援金が寄せられた。

 吹奏楽部や合唱部も支援に動きだした。吹奏楽部は4月10日、愛宕山でチャリティーコンサートを開催。募金と被災地へ向けたメッセージを書いてもらうよう呼びかけたところ、花見客らから8万円余の義援金と60通余のメッセージが寄せられた。17日に開催された合唱部と吹奏楽部主催のスプリングコンサートでも募金活動が行われた。



 短歌に託す被災地への思い

東北の中学生がボランティア 島根の僕たち何かしよう  満田 佳佑

家だとか街はほとんど消えたけど みんなの希望は消えないはずだ  杉原 拓弥

もう少し耐えればきっと見えてくる 希望の光救助の手  加納 聖也

震災でどんなにつらくなろうとも 忘れちゃいけないスマイルスマイル 有田 淑乃

被災地の中学生もつらいのに 元気づけるため笑顔を作る  田中 悠月

被災地に直接何かできなくても 願うことなら誰でもできる  錦織 周平

こんな時生きていることはつらいけど 命あることみんなが感謝  長岡 玲奈

がんばってめっちゃ寒いけどがんばって とにかくがんばって助かって 黒崎  巧

悲しくてつらくて泣いてしまっても みんながそばで支えるよ  土江 絵花

この声が届かんばかりの大地震 今届くのはたしかな思い  持田 憲大


 ひとこと

 頼もしい海外救援隊

 中学生がすごく活躍している姿を見て、今、こうしている間にも頑張って手助けをしている中学生が何人もいて、同じ中学生として負けないくらいの援助をしたいと思っています。

 外国の人もすごく心配してくれています。救助隊が送られてきたり、一緒に行方不明の人を捜索してくださったりと、本当に日本のことを思って活動してくださっている人がいます。私はそれを知って、とても頼もしいと感じました。  (山岡さくら)


 世界中の人々が支援

 被災された人たちは、毎日とても不安な生活を送っておられると思います。家族と離ればなれになった人、家が流されてしまった人、いろんな人がおられると思います。

 だけど、今、世界中が団結して乗り越えることが大事だと思います。日本だけではなく、世界中の人々が皆さんのために働いてくれています。頑張ってください。  (長岡 由夏)


(3月22日付、3月28日付2年部学年便りから)


 生徒の皆さんへ 心温まる行動に感謝

仙台市立上杉山中学校教諭

 大木 一彦 

 皆さんのメッセージと歌を読ませていただきました。被災地から離れた地域に住みながら、震災後すぐに「自分たちにできることで何かをしたい」と、このようなメッセージを届けていただいたことに、心から感謝したいと思います。

 幸い、上杉山中学校は津波が来なかったので、被害は少ない地域になっています。しかし、中には父親が津波に流されて亡くなってしまった生徒や、いまだに行方不明の生徒もいるし、津波に襲われた地域から転入して来た生徒もいます。

 そして、全ての生徒が、電気も水道もガスも止まった生活や、震災の日の夜はトイレにも困り、食料への不安を抱えて店の前の行列に並んだ経験もしています。

 でも、こうした経験を通して、1カ月の間に生徒たちは「おとな」になったなと感じています。避難所のトイレ掃除やプールからの水の運搬、簡易トイレの設営や避難所の移転、どの場面でも率先して動いていたのは中学生や高校生でした。

 しかし、私たちがそんな状態で生活していた時期に、震災のことをきちんとわが身に結びつけてイメージし、メッセージや短歌を作っていた子どもたちがいたんだということに、心から勇気づけられる思いでいっぱいです。


 被災地に向けメッセージ

 勝部未希 避難所では皆平等

 この地震は観測史上最大で、地震発生直後の映像には地震で揺れている様子、津波が起きているところ、それによって流されている物、火災の様子しか流れませんでしたが、時間がたつにつれて被災した方のインタビュー、学校の校庭に書かれた「SOS」の文字などが流れてきました。

 一つだけうれしい映像がありました。それは炊き出しの光景でした。炊き出しをもらいに並んでいる人々の列に外国人の方がいました。炊き出しをしている人は、日本人・外国人の区別なく、笑顔でおにぎりを渡していました。

 阪神淡路大震災の時は、外国人が避難所に来たら「自分の国に帰れ」などと言われ、差別を受けた外国人の方がおられました。今回はみんな平等でいいなと思いました。

 自然災害は人間の手で止めることはできませんが、被害を最小限に抑えることはできます。だから、一人一人が意識を高く持って、協力し合って被害を小さくすることができればいいと思います。

 今、私たちにできること。

 ◯募金活動をする

 ◯食料を調達する

 ◯衣類を調達する。特に毛布など

 ◯被災者の方々へ手紙を書く

 東北地方は雪が降っていて、とても寒い思いをしておられると思います。こんな時に停電が続くと、精神的にも体力的にもかなり厳しいと思います。これから1カ月あまりも余震が続くと言われています。被災者の皆さんには頑張ってほしいと思います。(3月14日付「平田中学校防災コース通信」から)


 錦織早那子 できることから協力

 東北地方を襲った巨大地震は、エネルギーが「阪神淡路大震災」よりも180倍も大きいと言われています。特に東北地方で被害が大きく、宮城県に住んでいる私の友達のことがとても心配です。

 地震が起きた時間を考えると、生徒は学校にいた可能性が高いので、家に帰れなかったと思うので、親とも連絡が取れず、とても不安だったと思います。

 津波で帰る家を失った子どもたちも大勢いると思います。今後の生活を考えると、食料もなく安心して寝られる場所もなく、先の見通しが立たないんじゃないかと思います。

 私は修学旅行の防災コースで「拓人こうべ」を訪問し、阪神淡路大震災の時、障がい者の方々にどんな苦労があったか、取材しました。今回の地震でも、現地で困っている障がい者の方々がおられると思います。取材で学んだことを今、生かすことが大切です。取材して作った新聞などを使って「今、本当に困っていることは何か」を私たちから発信し、たくさんの人に伝え、被災者の皆さんの助けになればよいと思います。

 私たちが住んでいるところは全く被害がないので、本当に同じ国内で起きていることとは思えません。現地は大変な状況になっているので、私たちに何かできることがあったら協力したいと思います。(3月14日付平田中学校防災コース通信から)

2011年4月21日 無断転載禁止

こども新聞