レッツ連歌(下房桃菴)・10月27日付

(挿絵・小池泉水)
◎世間のバカは起きて働く

キリギリス蟻に命を救われて  (大田)杉原サミヨ

◎脇は手加減してくださいな

見た目より楽に着られる服がいい(松江)花井 寛子

◎犬小屋にある新調の靴

夫には内緒にしてた旅仕度   (飯南)塩田美代子

◎少しは痩せて写るでしょうか

腹引いてハスに構えて息止めて (松江)木村 更生

◎裏で糸引く憎い楽しみ

生えかわる尻尾はやはり同じ色 (益田)可部 章二

交替でやりましょ首相と大統領 (松江)高木 酔子

◎いいとこなのに玄関に客

すき鍋の霜降り肉をしじらかし (大田)清水 すず

片方の眉ようやっと描き終えて (松江)多胡 誠夫

◎ヤツは当選オレは落選

悔しさは時に飛躍のバネとなり (出雲)真幸 信子

◎ピンチの後にチャンス到来

麓まで歩き続けた亀が勝ち   (美郷)源  瞳子

◎全国民にそっぽ向かれて

案山子にも声かけて行く遍路道 (浜田)松井 鏡子

◎僕のかわいいミヨちゃんは逝き

タマの子を七匹産んだその揚句 (江津)岡本美津子

◎留守電にしてドアに鍵かけ

病院の待合室が社交場     (出雲)原  陽子

◎旅券更新またも申請

先の先にも先がある大宇宙   (美郷)遠藤 耕次

◎政治の話はなしにしようよ

そげならばどじょう掬いをやりましょか

               (松江)中西 隆三

光より速い粒子があるそうね  (松江)村田 行彦

◎台風来ると予報出ている

はやばやと雨戸を繰って手酌酒 (浜田)宇田山 博

◎思わぬ人から声をかけられ

とりあえず愛想笑いでやりすごし(益田)時 任三郎

見守りを続けてすでに十余年  (松江)持田 高行

引き受けた自治会長も板につき (江津)江藤  清

◎ススキ飾って月の出を待つ

庭先にポンポコ狸浮かれ出て  (松江)金津  功

証誠寺暗視カメラも準備して  (松江)村田 欣子

ドラキュラもゾンビもみんな集まって

               (出雲)遠藤  伸

なみなみとコップに注ぐ大吟醸 (益田)石川アキオ

◎また自叙伝をよこしやがって

あのときに貸したお金を早よ返せ(出雲)矢田カズエ

◎平和保って六十六年

戦争を知らぬ世代が退職し   (松江)森広 典子

年寄りの数じゃ負けない島根県 (浜田)勝田  艶

雲一つなき大空に掌を合わせ  (浜田)重木  梢


           ◇

 すずさんの句の「しじらかす」は、私は知らなかったのですが、「焦げ付かせる」に当たる、この地方のことばなんだそうですね。肉や干物などについて使うと聞きました。

 「案山子にも声」は、とても寂しいような、また考えようによっては、のどかなような、そんな情景が浮かびます。どっちでもいいけれど、議員活動はどうなっているのでしょうか。

 政治の話はなしにして、「どじょう掬い」はともかくも、「光より速い粒子」―、こういう話題にいきなり飛ぶのも、いかにもわざとらしい。そのわざとらしさが、私は気に入りました。

 博さんの「手酌酒」とアキオさんの「大吟醸」、似たような句ではありますが、前句がぜんぜん違うのですね。おもしろいものだな、と思いました。晴れるにつけ荒れるにつけ、好きなおかたは一杯やりたくなるもの、なのだそうです。

           ◇

 次は、今日の入選句を前句にして、七七の句を付けてください。(島根大名誉教授)

2011年10月27日 無断転載禁止

こども新聞