今私たちに何ができる? 県立出雲商高

 震災から9カ月がたとうとしている今、大震災が日本を震え上がらせた3月11日以降、私たちも募金活動をしたり、スクールバッグを送ったりしながら…、何かしたくても何もできない…、誰もが同じもどかしさを感じてきた。

 津波や原発事故など悲惨な現状を正しく知ること、大きな悲しみに少しでも寄り添えるよう、いろいろな場面で学びを深めてきた。

 「社会の課題に向き合う」ためにまず地域でできることからということで、特別な思いを持って取り組んだのが今年の課題研究。

 出雲商業高校では、3年間の学びのまとめとして多角的な視点で自ら課題を見つけ探求していく授業が、3年生で週3時間展開されている。今年は全部で10の講座が開設され、5~20人のグループが自主的に活動を展開してきた。この「地域貢献型探求学習」を通じて出雲を、日本を元気にしたい、というのが私たちの思いである。


広告と販売促進

 東北支援の物産展企画

 私たちは1学期から東日本大震災についての新聞記事や記者派遣授業で多くのことを学んだ。東北地方を支援するためには何ができるか考えた結果、今回の出商デパートで東北物産展「よってけれ屋」という店を開くことにした。ここでは「出商から東北にエールを」というキャッチフレーズのもと、東北に関係するさまざまな商品を取り扱う。

 また、今の東北のことをたくさんの方に知っていただきたいと考えて、東北について調べたこと、どうしても伝えたいことをまとめて、店舗に展示したいと思っている。

 東北復興に向けての支援活動に多くの人が賛同していただけることを願っている。今年の出商デパートでは私たちの店舗が目玉にもなっているので、ぜひ足を運んでほしい。

(3―4・飯塚、森岡)


商業英語

 出雲大社のクイズ英訳

 私たちは「神門通り活性化」をテーマにして取り組んできた。出雲大社について、外国から来られた方により興味を持っていただくため、出雲大社に関するクイズを考え、それを英訳した。完成したものを神門通りで配布していこうと考えている。

 また、より一層観光を楽しんでいただくため、神門通りのグルメ広告を英語と日本語で作成した。7店舗取材し、人気商品・歴史などオリジナルの情報を掲載する予定。

 私たちにとっては身近な出雲大社。しかし、知らないことも多く、自分たちで調べることで知識を深めることができた。

 神門通りには地元産の食材を使用した商品や、

ゆかりのある商品などが多くある。どの商品も愛情がこもっており、出雲を訪れた観光客の方々にこのおいしさを伝えたい。(3―3・石飛)


商品と流通

 身近な商品の歴史・原価学ぶ

 私たちにとって身近な商品にターゲットを絞り、歴史や原価、流通経路などを調べてきた。発表手順や効果的なプレゼンテーションについても、地域の講師からアドバイスしていただいた。

 2学期には、出雲商工会議所青年部の皆さんの指導のもと、ベンチャーキッズスクールに小学生のサポート役として参加した。普段関わることのない地域の方々とともに活動でき、故郷に対する熱い思いも知ることができ、貴重な体験となった。

(3―1・山本)


商品開発

 ぜんざいの地域ブランド化目標

 私たちは「ぜんざいの地域ブランド確立」を学習のテーマに置き、まず「古事記」や「出雲神話」を題材にして、ふるさと出雲を知る学習をした。先輩方が続けてこられたぜんざいに関する商品開発を私たちも引き継ぎ、これまで何度も開発会議を重ねてきた。本年度中に商品化されることを目標に活動している。

 イベントでのぜんざい販売では、自分たちの商品に対する評価を直接得ることができる。お客さまに喜んでいただけるためにはどうしたらいいかを常に考えている。(3―4・黒崎)


商業美術

 古事記関連グッズ考案

 「神々の国しまね古事記1300年おもてなし事業」に参加している。古事記の魅力をたくさんの人に知ってもらうために観光商品の開発に取り組んだ。

 古事記は天地創造の壮大なストーリーから始まり、因幡の白兎や八岐大蛇など楽しい神話がいっぱい。神様たちのキャラクターも人間臭くてひかれる。出雲が日本の心の原風景として親しまれるよう、私たちのアイデアを形にして届けたいと考えている。

 具体的には神様のイラスト、パワースポット入りのトランプ「神札」や、古事記のお話がちりばめられた「縁札」など。ほかにも、古事記が発するメッセージをビジュアル化した商品を考えている。

 皆で古事記を学び、実際に神話の舞台に出向いて取材したり、商品化実現に向かって頑張ることで温かい気持ちになった。出商生の元気が日本中に広がってほしい。

(3―4・加納)


澄川氏との交流

 スカイツリーの魅力体感

 文化庁の「子ども 夢・アート・アカデミー」事業の一環として、出雲商業高校学園祭で澄川喜一先生の講演が決定した5月19日から、美術【1】、商業美術、ビジュアルデザインの授業の中で彫刻や立体表現について学習するのと並行して、図書委員会や生徒会が中心にスカイツリーの模型や関連書籍、写真集等を展示し、自主的にSumikawa artについて研究し、生徒間での啓発に努めた。澄川先生とメールでやりとりしながら交流も深めていった。

 8月26日の講演では、スカイツリーの構造やデザインについて迫力ある映像を交えて詳しく説明していただき、出雲にいながらにしてその魅力を体感することができた。

 澄川先生は島根県のご出身ということもあり、「島根に生まれ島根に生きている誇りを持つこと」「古事記1300年、出雲にしかできないことがあるはず。自信と誇りを持って日本中に発信してほしい」と熱く語りかけてくださった。先生の彫刻作品「風門」のイメージのように、神聖なる神々の国の大地にしっかり立って、大空に向かい限りなく成長していこう。

(美術 KI)

 この「子ども 夢・アート・アカデミー」の様子が澄川喜一HP(http://www.sumikawa-art.com/)に紹介されています。


来月3、4日 出商デパート

 笑顔と元気を届けたい

 今年は、地域の皆さまへの感謝の気持ちを忘れず、また、東日本大震災で被災された皆さまや日本全体に、出雲商業高校から笑顔と元気を届けたいと思っています。

 毎年恒例のダイトレンジャーショーに加え、今年は島根県出身アーティストの六子さん、バルーンアートのmaboさんを迎え、さらに活気のあるデパートにしていきたいと思います。特別ゲストとして大社高校佐田分校須佐太鼓部もやって来ます。

 お客さまに「来てよかった」「来年もまた来たい」と思っていただけるよう、生徒一人一人心を込めてお迎えします。ぜひ出商デパートへお越しくださいませ。

 (デパート委員長・大門茜、副委員長・荒木駿之介、日野里華子、嘉本悠里)

 出雲商業デパートHPは、http://www.shimanet.ed.jp/izusho/からご覧ください。


地域と歩む剣道部

 初心忘れず今後も精進

 本校の剣道場では、毎週水曜日午後7時から一般の剣道稽古会「みこと会」が行われている。地元の高段者から小学生まで、多いときで総勢約60人が集う稽古の様子は熱気にあふれている。

 多くの先生方の貴重なご指導は、剣道だけではなく人間教育全般にわたる。地域を愛する皆さまとのつながりを大切にするこの稽古会の支えもあって、10月に行われた県高校選手権大会では女子団体で初優勝。「あせらず、おごらず、よろこびすぎず、そして、初心忘れず」今後も精進していきたい。(宮本)


NIE・図書館活用教育

 図書委員会が自主的に活動

 NIE広場への毎朝の新聞設置、新聞の比較読み、掲示板企画、ふるさと新聞など図書委員会が自主的に活動している。

 特に9月28日にはNIEの活動として山陰中央新報社の森山郷雄記者から取材体験を聴く講座を持った。森山記者は現地の写真を示しながら、その時出会った人の声などを紹介された。私たちは人ごとに思えず、被災者の方々の身になって考えるようになった。

 澄川先生との交流の中でも、先生に本を紹介してもらい、全校生徒に紹介した。先生のお薦めは、梅原猛著「葬られた王朝」「カフカの『変身』」など。授業や学校行事などがいつでも、また校舎内の至る所で新聞や本に親しめるように工夫している。


学校紹介

 島根県立出雲商業高等学校は出雲市大津町、出雲弥生の森博物館に隣接し、出雲市が一望できる丘の上にある。

 全校生徒は470人。ほとんどの生徒が部活動に励み、運動部も文化部も活発に活動し、明るく伸び伸びと活気に満ちた学校生活を送っている。

 実学を重んじ、自主的に知識を身につけ能力を磨いていくために、ユニークな活動を展開している。毎週月曜日のビジネスマナー(全校集会)やインターンシップなどは、「元気なあいさつ、明るい笑顔、美しい身だしなみ」を合言葉にしている。生徒、教職員が「チーム出商」として一つになり、地域に愛される学校を目指している。

 社会の変化に対応でき、実務界において主体的に行動できる人間力を育成するための専門高校である。


編集後記

 NIEの実践指定校として3年目に入った。教員も生徒も新聞に親しむ姿勢が定着し、校舎内のNIE広場、新聞記事掲示板、比較読みコーナーなどに立ち止まるのも自然な風景となった。

 今年は特に東日本大震災のさまざまな記事について、授業も含め、あらゆる学校活動の中で取り上げてきた。授業やHRなどで関連記事を読み込んだり、震災を取材された新聞記者の方の講義を聴いたりもした。

 この9カ月間、その時々の状況に真摯(しんし)に向き合ってきた。新聞の役割や、そこから受け取れるメッセージなどを考えることができたと思う。被災地や福島ではいまだに解決していない問題が山積みなのに、私たちは人々の大きな悲しみを日常の中で忘れかけてはいないだろうか。

 今年も「青春はつらつ新聞」を編む機会をいただき、あらためて私たちが作る紙面の意味を考えたつもりだ。高校生だからこそできること、伝えたいこと、また、今やるべきことを学校全体で考え実践していることを、発信させてもらえることができて幸せだと思う。「がんばろう日本」が言葉だけにならぬよう、これからも何ができるか考えていこう。(編集委員)

出商デパートで被災地を支援しようと、東北物産展出展に向け話し合う「広告と販売促進」グループ
出雲大社に関するクイズの英訳や、英語と日本語で神門通りのグルメ広告作りに取り組む「商業英語」グループ
観光商品の開発に向け、出雲大社の取材に出掛けた「商業美術」グループ
澄川喜一氏を抹茶でもてなした茶道部の生徒たち
12月3、4日に行われる「第6回出商デパート」をPRする実行委員たち
地域とのつながりを大切に、地域と歩む剣道部

2011年11月30日 無断転載禁止

こども新聞