レッツ連歌(下房桃菴)・12月8日付

挿絵・小池泉水
 二度も三度も同じこと聞く

泣いている迷子の名前が分からない
               (大田)掛戸 松美

勉強はしてるか飯は食ってるか (松江)木村 更生

幼子の智恵はこうしてついていく(大田)沢江 洋子

ほんとうに嫌いなものは嫌いなの(出雲)吉川 松代

振り込めと騙すつもりが匙を投げ(大田)杉原サミヨ

ボケているフリをするのも楽じゃない
               (出雲)飯塚猫の子

予算委は席を立ったり坐ったり (雲南)横山 一稔

答弁をさせて敵失待っている  (松江)余村  正

はじめてのおつかいに行く三歳児(松江)野津 重夫

手悪さにおしゃべりよそ見しておいて
               (益田)吉川 洋子

留守電に慌てふためく母の声  (松江)山崎まるむ

大臣は額に汗を滲ませて    (松江)森  笑子

長髪で笑ってるのがお父さん  (松江)岩田 正之

老夫婦仲むつまじくティータイム(雲南)板垣スエ子

いいかげん許しておくれ女房どの(江津)岡本美津子

遺産などあるわけないが黙っとく(松江)川津  蛙

窓口で当り番号確認し     (松江)田中 堂太

気が長くないと大臣身がもたぬ (松江)多胡 誠夫

最後には恫喝される記者会見  (益田)石川アキオ

供述がころころ変わる取り調べ (浜田)勝田  艶

それだけで上達のする英会話  (美郷)源  瞳子

大物を逃がしたという釣り談義 (松江)松田とらを

厩戸の皇子も歳には勝てぬなり (益田)石田 三章

要領の悪いところは親譲り   (益田)黒田ひかり

悪性じゃないというけど気になって
               (松江)村田 欣子

一発で覚えられたら塾いらぬ  (松江)相見 哲雄

パソコンは昨日習って今日忘れ (松江)花井 寛子

花の名は舌噛みそうな外来語  (出雲)原  陽子

はっきりといっしょに来てと頼むだわ
               (雲南)佐藤 風子

嘘なんかついていません刑事さん(雲南)難波紀久子

この時計スイス土産とまた見せて(益田)小倉  豊

合格を知らせる受話器握りしめ (美郷)芦矢 敦子


           ◇

 細かいことを申すようですが、重夫さんの句、もと「初めての」となっていたのを、仮名書きに直させていただきました。例の人気テレビ番組を意識した句ですから、その番組名そのままの表記がよいのではないでしょうか。こうしたからといって、まさか「商標権侵害」で訴えられることもなかろうと思います。

 正之さんの「長髪のお父さん」、思わず笑ってしまいました。いえ、苦笑です。というのも、桃菴センセの若いころの写真がどれもみな、みごとな長髪なのですね。もちろんカッコイイと思って伸ばしていたのですが、いま見るとむさくるしいものです。

 聖徳太子は、同時に七人のしゃべることを聞き取った、と言われております。でも、歳を取ると、さすがにそうもいくまい、というのが三章さんの句―。七人はおろか、たった一人の言うことも聞き返さなければならない…。ですから、聴力は、七分の一×二~三分の一にまで減退したのですね。掛け算になっているところがおもしろいと思いました。

           ◇

 さて、来年の「新春特集」の前句です。

  古事記編纂(へんさん)千三百年

 和銅五(七一二)年に古事記が編纂されて、来年は千三百年目に当ります。島根県をはじめ、全国各地でさまざまな事業が計画されています。

 で、われわれも連歌で仲間に加わろうというわけで。県内はもとより、大和からも伊勢からも日向からも、楽しい付句をいっぱいお寄せいただけると嬉しいですね。お知り合いのみなさんにも、ぜひお勧めください。

 付句は、五七五です。

(島根大名誉教授)

2011年12月8日 無断転載禁止

こども新聞