「神々の国しまね」観光客に魅力発信 松江市立女子高校国際文化観光科

松江女子高イメージキャラクター「ジョッシーナ」
 全国でも珍しい国際文化観光科を有する松江市立女子高校。その中でも、特に観光を学ぶ観光コースの取り組みを取材した。古事記編さん1300年を迎える今年、女子高生が神々の国しまねを積極的にアピールしようと動きだした。


◆学校紹介◆

 松江市立女子高校は中四国地方で唯一の公立女子高校。普通科のほか、グローバルな視点に立った国際人の育成を目指す国際文化観光科を設置している。同科では、校外実習を多く取り入れ、郷土の魅力を学ぶことに力を入れており、中でも、特に観光を通しておもてなしの心を学ぶのが観光コース。全国で唯一、3年連続で「全国高校生観光甲子園」に出場を果たしている。



縁結びや古事記PR

佐賀・嬉野高生4人来県 プラン作成初ガイド

 観光コースの生徒6人が、松江市をめぐるオリジナルの観光プランで佐賀県立嬉野高校の生徒4人をもてなし、松江の魅力をPRした。嬉野高校からのリクエストを取り入れつつ、松江の魅力を存分に味わうことのできるプランを作成し、初のガイド役を務めた。

佐賀県立嬉野高校生徒に松江城を案内する国際文化観光科観光コースの生徒
 両校とも昨年8月に行われた「第3回全国高校生観光甲子園」に出場したことが縁で、このたびの交流を持った。午前中は、堀川遊覧船で松江城周辺を巡り、築城にまつわるガイド案内を行った。松江城では”ハートの木目”も案内に盛り込み、縁結びの地松江の魅力もしっかりPRした。島根の食を堪能してもらおうと、昼食には出雲そばを選んだ。

 午後からは、県立美術館を訪れ、宍道湖うさぎにシジミを供えた後、八重垣神社に参拝。古事記にも記されているスサノオノミコトとイナタヒメの神話について説明した。日本最古の和歌やヤマタノオロチ神話など、古事記の世界への案内に嬉野高校生徒は熱心に聴き入った。全国的にも有名になった鏡の池占いも体験してもらい、縁結びの神社としての魅力もPRした。

 「観光案内をするのは初めてだったが、うなずきながら聞いてくれている姿をみて、やって良かったと思った。おもてなしすることの喜びを感じた」「神々の国しまねや古事記について、もっと多くの皆さんにアピールしていきたい」と案内役の女子高生たちは声をそろえた。



おもてなしの心学ぶ

インターンシップ 案内所で接客に挑戦

 国際文化観光科観光コースで学ぶ2年生8人が2月上旬の4日間、松江市国際観光案内所でインターンシップを行った。これは実際にお客さまとのやりとりを通しておもてなしの心を学ぶため、授業の一環として毎年行っている職場体験実習。

松江市国際観光案内所でのインターンシップに臨む生徒たち
 観光案内所の業務内容は、観光客の案内やバスなどの公共交通機関の紹介からパンフレットの配布まで多岐にわたる。今回職場体験を行った生徒たちは、初めての接客に緊張した面持ちで臨んだ。実習の初日、主任の小林宏子さんは緊張する生徒に対し、「学んだことを生かし、堂々と接客してください。笑顔とおもてなしの心を忘れないで」と伝えた。

 初日、2日目は、不安な表情で接客を行っていた生徒たちだったが、3日目からは余裕も見られ、お客さまとのやりとりを楽しむ姿も見られ、観光客から「実習頑張ってね」と励まされると笑顔で対応していた。

 実習に参加した井田千晶さん(17)は「不慣れな接客でとても困惑したが、お客さまに縁結びの国、神々の国島根の魅力を伝えることができてよかった」と話す。

 今回の実習を通して観光案内業務を学んだ生徒たちは、3月には市内温泉旅館などの観光施設での職場体験を行い、さらにおもてなしの心を学ぶ予定だ。



女子高発「縁雫」

地域活性化に一役

「縁雫」ロゴ各種
 「縁結びの地であり、水の都である松江。そんな松江に降る雨は日々のストレスを洗い流し、松江を訪れた方に幸せを運び、素敵なご縁を運ぶ」

 縁結びのまち・松江に降る雨を「縁雫(えにしずく)」と命名したのは松江市立女子高校観光コースの生徒たち。今や松江市内で「縁雫」のロゴや商品を見かけることも多くなり、すっかり定着した感がある。

 「縁雫」が生まれたきっかけは2009年に開催された「第1回観光甲子園」。松江市立女子高校観光コースの8人は「〝縁joy松江の縁雫~古き良き日本を感じる旅 with縁むすめ~〟」という、梅雨時季の松江の魅力をまとめたプランで優秀賞を受賞した。

 その後、松江観光協会を通して商品開発が進められ、今ではさまざまなグッズが販売されている。

 また、松江の縁結びスポットの一つ、カラコロ工房には幸運を運ぶピンクのポスト「縁結びポスト」がある。このポストも「縁雫」同様、女子高生のアイデアから生まれたものである。

 もともとは松江郷土資料館に展示保存されていた円柱型のポストを、女子高生の感性でピンクに塗り直した。「このポストから手紙を送ると、送った人にも相手にも幸運が運ばれる」というキャッチコピーも女子高生ならではの発想である。今では女性観光客に人気のスポットともなっている。こうした女子高生ならではの数々の発想が、松江のまちの活性化に一役買っている。



(上)「Act Against AIDS LIVE」のプレゼンをする生徒たち(左)来場者の皆さんの思いを集めて作った「ビッグハート」
~ActAgainstAIDSLIVE~

生徒会 正しく「エイズ」知って 住民招き感染予防訴え

 松江市立女子高校生徒会では、ルーマニアのエイズ孤児への支援活動がきっかけとなり、松江市内の小中学校でAIDSやHIVについての正しい知識を伝えるための出前授業を行っている。このたびは広く地域の方々を対象として「Act Against AIDS LIVE」を開催した。

 「Act Against AIDS」とは、AIDSに対して何か行動を起こそうということだ。多くの人々にAIDSやHIVの正しい知識、世界の現状について知ってもらうために生徒会執行部が中心となり、今年は2月11日に松江テルサを会場に開催した。

 AIDS、HIVと聞くと、「怖い病気」「日常生活で簡単に感染してしまう病気」と勘違いしている人が多い。しかし、実際は正しい知識を持っていれば感染を防ぐことができる。
 今回のライブでは「正しい知識を持ち自分に何ができるのか」というメッセージを発信した。また、山陰で活躍されるINOUE TAKUさん、ことのはさんをゲストに招き、パネルディスカッションも行った。

国際文化観光科観光コース2年=左から内田彩紀、森脇覇好、中岡希美、中池明日香、松本由菜、山田愛蘭、井田千晶、向井ちひろ
 当日は約100人の市民の方々が来場され、親子連れ、年配者など幅広い年代の人に来ていただいた。ライブの最後には「Act Against AIDS」のシンボルであるレッドリボン型のカードにメッセージを書いてもらい、それを張り合わせてビッグハートを作成した。

 生徒会執行部は、これからもAIDSやHIVについて学び、多くの人々に正しい知識を伝えていく活動を続けていく。



編集後記

地元の良さ発見 伝える喜び知る

 私たちは松江市立女子高校国際文化観光科に入るまで、松江の良さについてほとんど意識できていませんでした。地元の良さに気づこうとはせず、松江にないものばかりを探し、「松江は田舎で何もない」「早く都会に出たい」と思っていました。そんな思いを抱いている中高生はたくさんいると思います。

 私たちは「観光甲子園」に出場するため、地元の方々にも協力していただき、校外学習を重ねながら松江の良さを知り、プランを完成させました。昨年8月に行われた「第3回全国高校生観光甲子園」では、松江の魅力をしっかりとPRすることができました。この取り組みを通して私たちは松江の魅力を知り、それを多くの方々に知ってもらいたいと強く思うようになりました。

 先輩方のアイデア「縁雫」が松江の魅力化に一役買っています。私たちも先輩方に負けないように、これからも地元の魅力やおもてなしの心を学び、大好きな松江をもっと活性化させていくお手伝いをしていきたいと思います。

2012年3月7日 無断転載禁止

こども新聞