レッツ連歌(下房桃菴)・3月22日付

(挿絵・FUMI)
◎薄い壁厚い人情の裏長屋

巨人の星を目指す父と子    (出雲)遠藤  伸

加勢もすれば仲裁もする    (益田)石田 三章


◎ほら見てよニッコリ笑ううちの猫

出雲土産は野焼きかまぼこ   (松江)森  笑子

あらほんとうねアンタにそっくり(川本)高砂瀬喜美


◎大きさに惑わされてはなりませぬ

昔話の中の教訓        (雲南)難波紀久子

義理か本命か友か見きわめ   (出雲)真幸 信子

ゲーム攻略ヒントその一    (美郷)源  瞳子


◎リビングを隅から隅まで拭きまくり

息子の彼女ついに登場     (松江)森広 典子

娘の彼氏イケメンかしら    (米子)佐々木浩子

働き者の手製ロボット     (松江)村田 行彦

母さん何を怒ってるんだい   (美郷)芦矢 敦子


◎ガラポンを回す右手に気合入れ

確かめてきた今日の運勢    (出雲)原  陽子


◎通し矢を放つ三十三間堂

彼のハートを射抜く意気込み  (松江)渡部 靖子


◎深々と頭を下げる受験生

父の期待を一身に負い     (出雲)伊藤 令一

五度目となれば付いて来ぬママ(津和野)岡田 忠良

急遽送ってくれたパトカー   (益田)石川アキオ


◎レア好きの中にウェルダン好き一人

なかなかできぬ女友達     (松江)余村  正


◎道真は無理難題に弱りはて

去年の在庫山積みにされ    (松江)木村 更生

裏口の木戸しかたなく開け   (江津)岡本美津子


◎娘には着てほしくないあの衣装

絵柄のついた股引きみたいな  (益田)吉川 洋子


◎責任は持たぬと医者はつき放し

今度の嫁は四十歳下      (出雲)萩  哲夫


◎旬のもの一品添えるお弁当

この気配りで夫婦円満     (益田)竹内 良子

機嫌取るのも新婚のうち    (松江)野津 重夫

後ろ姿に祈る合格       (松江)岩田 正之


           ◇

 三章さんの「加勢仲裁」―、「夫婦喧嘩(げんか)」ということばを伏せたところが憎いですね。で、伏せたことばがパッと分かった桃菴センセも偉い。え? レッツ子ならだれでも分かるって?

 ほとんど同じ状況なのに関心の持ちかたがぜんぜん違う、ってことはあるものですね。「リビング」に付けた「息子の彼女」と「娘の彼氏」―。

 典子さんの句は、息子にやきもきしていたけれど、これでひとまず安堵した、というところ。浩子さんのほうは、娘のことは実はそんなに心配していない。それよりも、あわよくば私が…、という勢い。恐ろしいことです。

 ま、それもこれも母親の立場。父親だったら、また様子が変わっていたことでしょう。

 道真公といえば学問の神様、というより今では受験の神様。が、さすがに「去年の在庫」は頭が痛い。…それにしてもアレ「在庫」っていうんですか。

 で、しかたなく裏口の木戸を開ける、となるわけですが、この「木戸」というのは、天満宮の木戸ではありませんよね。それでは意味が通じない。とすると、やっぱり…。よその木戸を勝手に開けてよいのかなと思いますが、そこは神様だからできるのかもしれません。

 最後にもう一つ―。洋子さんの「股引きみたいな」アレは、「スパッツ」というんだそうですね。桃菴センセも、選者として息抜く隙がありません。

           ◇

 次は、今日の入選句のどれかを前句に選んで、五七五の句を付けてください。

 選んだ前句も、お忘れなくお書き添えくださいますよう。

(島根大名誉教授)

2012年3月22日 無断転載禁止

こども新聞