紙上講演 前開星高校野球部監督 野々村直通氏

前開星高校野球部監督 野々村直通氏
 「私の教育論」

 実直に生徒と向き合う


 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が11、12の両日、松江、米子両市内であり、前開星高校野球部監督の野々村直通さん(60)が「私の教育論」と題して、持論を語った。要旨は次の通り。


 教育現場は教師が主役でなければならない。現在は、教師が子どもと保護者の顔色を見ている。子どもの過ちを見つけても、「保護者に何か言われるかもしれない」と見過ごせば、教育は終わる。

 マザーテレサは「『愛』の反対は『憎しみ』ではなく『無関心』」と言っている。決して無関心であってはならない。

 子どもにとって教師の存在感も必要だ。腕力がなくても、知識や深い慈悲の心でもいい。教師が実直に生徒と向き合えば、必ず尊敬し、目を向けてくれる。

 大津市の男子中学生の自殺問題で、いじめとの因果関係が指摘されている。いじめは根絶できないかもしれないが、いじめで自殺する事態は避けられる。

 ある時、野球部の練習を見に来ていた女子生徒に、部員が心ない言葉でちょっかいを掛けたことがあった。その女子生徒は怖くなり、来なくなった。

 わたしは、いじめの発端になりかねないと思い、クラスの運動部員たちを呼び、きつく注意した。ちょっかいを出した部員に「俺が怖いか」と問うと「怖いです」と答えた。

 だが、女子生徒はもっと怖がっていると諭すと、涙を流して、姿勢を改めた。「怖さ」を教えるのも教師の役割だ。

2012年7月13日 無断転載禁止