紙上講演 一橋大大学院教授 橘川武郎氏

一橋大大学院教授 橘川武郎氏
 地域からの経済再生と雇用創出

 製造、サービス業結合を

 山陰中央新報社の石見政経懇話会と石西政経懇話会の定例会が14、15の両日、浜田、益田両市内であり、一橋大学大学院教授の橘川武郎氏(60)が「地域からの経済再生と雇用創出」と題して講演した。要旨は次の通り。

 地域における雇用創出には、製造業とサービス業との結合が欠かせない。全国各地で農商工連携や産業の6次化を志向する動きがあるのも、そのためだ。

 浜田市の雇用環境を例に考えても、重要性が分かる。2001年と06年の産業別従業者数を分析すると、雇用減少率は建設と製造の減少幅が大きい一方で、卸売りや小売り、飲食などは全国の動向に反して増加した。

 サービス業のさらなる活性化には、豊富な1次産品を地元食品製造業者らが加工して付加価値を付けて販売することが必要で製造業の浮揚にもつながるはずだ。

 浜田には観光振興も求められるが、特に産業観光を勧めたい。日本のエネルギー政策にとって中国電力三隅発電所(浜田市三隅町岡見)が極めて重要だからだ。

 福島第2原発事故を契機に、エネルギー政策の見直しが進められるが、当面は火力の比重を高めるしかない。火力は二酸化炭素排出量の多さなどが課題だが、三隅火電は石炭火電の中で、熱交換率の高さが世界2位。効率が良く環境負荷も抑えられる。

 世界最高レベルの技術を海外移転して排出取引すれば、二酸化炭素排出量削減の切り札にもなり得るだろう。研究者や業界関係者の間で三隅火電は有名だが、どこにあるか知っている人は多くないだけに、観光面での活用を提案したい。

2012年2月16日 無断転載禁止