紙上講演 政策研究大学院大学教授 小松正之氏

政策研究大学院大学教授 小松正之氏
 日本水産業の将来展望~山陰の漁業はよみがえるか

 資源管理制度に注目を

 山陰中央新報社の石見政経懇話会と石西政経懇話会の定例会が21、22の両日、浜田、益田両市内であり、政策研究大学院大学教授の小松正之氏(58)が「日本水産業の将来展望~山陰の漁業はよみがえるか」と題して講演した。要旨は次の通り。

 日本の漁業生産量は現在、ピーク時の半分以下にまで落ち込んでいる。なぜ衰退を続けるのか。ノルウェーと比べれば明らかだ。

 日本の漁業者は60歳以上が約半数。これに対し、ノルウェーは60歳未満が85%を占める。単純に漁業者の収入が高いことに加え、同国が資源管理を徹底し、30~40年後の安定的な収入見通しが立つことで、若者が安心して就業できるためだ。

 一方、日本は収入が少ないばかりか、先行きの見通しも立たない。これでは漁業をやりたい若者は出てこない。水産資源など漁業に管理制度を導入している主要国の生産量が右肩上がりとなっていることに、もっと目を向ける必要がある。

 資源の減少や高齢化により、日本国内の漁業者は年間約1万人のペースで減り続けている。後継者不足が問題をより深刻にしており、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた東北地方では「漁業をもうやめたい」という人がかなりの割合でいる。後継ぎがいない人ほど、その傾向は強い。

 農林水産省の2008年漁業センサスで、岩手県は後継者がいる個人経営の漁業者の割合が20%だが、島根県は4・8%と全国でも最低クラス。浜田市でみると、漁業者184人のうち後継ぎがいるのはわずか2人。益田市も109人中、3人にとどまる。このままでは漁業がなくなってしまう。

 厳しい状況を踏まえ、資源管理制度や宮城県が提唱する「水産業復興特区」などに注目すべきだ。

2011年12月23日 無断転載禁止