紙上講演 政治アナリスト 伊藤惇夫氏

政治アナリスト 伊藤惇夫氏
 新政権の課題と日本政治の行方

 国際社会で「日本無視」も

 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が20、21の両日、松江、米子両市内であり、政治アナリストの伊藤惇夫氏(63)が「新政権の課題と日本政治の行方」と題し、9月に発足した野田内閣の今後を展望した。要旨は次の通り。

 野田内閣の最大の課題が、東日本大震災からの復興であることは言うまでもない。それ以外にも、財政再建と外交の立て直しという課題を抱えている。民主党の役員人事では「したたかさ」を発揮したが、閣僚人事では経験のない安住淳氏を財務相、玄葉光一郎氏を外相に据えるなど、「適材適所」からは少しずれた。

 財政再建では「税と社会保障の一体改革」で、消費税率引き上げのための法整備がある。支持率や野党との協力体制の絡みで、本年度中は着手しないだろうが、中期的には、やらざるを得ない。

 外交はガタガタだ。菅直人前首相が退陣の意思を表明した6月から3カ月間も居座り、国際社会で「日本無視」の風潮がまん延している。日米首脳会談や国連総会の演説で、野田佳彦首相が日本の進むべき方向について、メッセージを発信できるか注目している。

 政局は、野田首相が保守を掲げており、自民、公明両党は攻めづらい状況だ。公明党は政権に接近していくのではないか。解散総選挙の時期でも、2013年夏の衆参同日選挙を避けたいという点で、公明党と野田首相の思惑は一致していると思う。野田首相が大きな失敗なく政権を運営すれば、12年9月の民主党代表選に対抗馬は出てこない。再選後の9~10月ごろに解散総選挙を行い、連立の組み替えを図ることも十分に考えられる。

2011年9月22日 無断転載禁止