紙上講演 政治ジャーナリスト 後藤謙次氏

政治ジャーナリスト 後藤謙次氏
 東日本大震災と政治

 不信任案で政局終わらず

 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が30、31の両日、松江、米子両市内であり、政治ジャーナリストの後藤謙次氏(61)が「東日本大震災と政治」と題して講演した。震災の対応で露呈した菅内閣の「政治主導」のもろさを指摘し、衆院での内閣不信任案の提出をめぐって激しさを増す政局の行方を展望した。要旨は次の通り。

 東日本大震災の被災地の関係者は、原発(福島第1原発)をどうするか▽被災者の生活をどう立て直すか▽まちづくりをどうするか▽子どもたちの未来をどうするか―の4点で不安、不満を抱え、政治と向き合っている。

 これらの対応で、菅内閣は後手に回り、被災地の根源的な問いに答えていない。この点に、「菅おろし」の動きが再浮上した土壌がある。

 浜岡原発(静岡県)の停止要請や、フランスサミットでの自然エネルギーの比率を2020年代の早期に20%にするとの表明は、政府内で検討した形跡がない。政治主導と言い、いきなり打ち出すのが民主党の政治。政治家主導で「議論する」という姿勢がない。

 野党の内閣不信任案の提出時期は最速で、6月1日の党首討論を受けた後になる。または、5日に投開票される青森県知事選の翌日の6日がポイント。可決は難しい状況だが、政局はここで終わらない。主役は参院で、首相退陣を求めている西岡武夫参院議長がキーマンだ。

 参院で問責決議案が可決され、菅直人首相が辞任せずに通常国会を閉じたとしても、秋の臨時国会で西岡参院議長が「(開会式の)ベルを押さない」という判断をすれば、菅内閣の退陣はやむなしというのが大きな流れだ。

2011年6月1日 無断転載禁止