(12)黄櫨匂威大鎧残闕(江津・桜江)

甘南備寺所蔵の黄櫨匂威大鎧残闕
 美しい色調の絹糸特徴

 江津市桜江町坂本の甘南備寺が所蔵する国指定重要文化財「黄櫨匂威大鎧残(はじにおいおどしおおよろいざん)闕(けつ)」。大河ドラマ「平清盛」で描かれる平安末期の作で、胴や袖の一部しか残っていないが、豪壮な姿を思い起こさせる風格に満ちた逸品だ。

 「残闕」は、部分的に残っているとの意味。平安末期から鎌倉初期にかけ活躍した武将・佐々木高綱が着用したとされ、戦国期に同町周辺を支配していた丸山城主の小笠原長旌(ながはた)が1589(天正17)年、武運長久を祈って先祖伝来の品を同寺に奉納した。

今井美術館に展示されている黄櫨匂威大鎧
 黄櫨とはハゼノキのことで、紅葉を思わせる赤や黄に染められた絹糸の美しい色調が特徴。太刀や弓矢から身を守るため、小札(こざね)と呼ばれる牛革の小さな板で覆われており、「これだけの鎧を作ろうと思えば、牛10頭分の皮が必要」と、同寺の左右田千代子さん(77)は解説する。

 この鎧を現代に再現しようと、建設業・今井産業(江津市桜江町)の故今井久祥社長が1995年に復元。日本甲冑(かっちゅう)武具研究保存会の山岸素夫常務理事が監修し、甲冑制作の職人が6年の歳月をかけて完成させたのが「黄櫨匂威大鎧」だ。

 同市桜江町川戸の今井美術館に展示され、荘厳なつくりをつぶさに鑑賞できる。「ふるさとの宝がよみがえった姿を、ぜひ見に来てほしい」と今井順子館長は呼び掛けている。

 ~メ モ~

 見学などの問い合わせは甘南備寺=電話0855(93)0358、今井美術館=電話0855(92)1839。

2012年7月1日 無断転載禁止