(25)ヨズクハデ(大田)

巨大なフクロウにも見えるヨズクハデ群
 全国に誇る歴史的景観

 大田市温泉津町の西田地区。JR湯里駅口近くの国道9号から県道で南東方向に入り、山あいの田畑と集落を車で抜け約10分進むと、稲刈りが済んだ棚田の中に羽を休める巨大なフクロウのような姿がいくつも目に飛び込んでくる。同地区に伝わる全国でも珍しい稲穂掛け光景である「ヨズクハデ」だ。

 高さ約5メートル。丸太を四角すい状に組み上げ、刈り取った500束程度の稲束を掛けて作る。地元ではフクロウを「ヨズク」、稲掛けを「ハデ」といい、フクロウが羽を休める姿のように見えることからこう呼ばれている。

 ヨズクハデの保存に取り組む地元住民で作る西田ヨズクハデ保存会によると、地元の神社にまつる海の神から教わった漁網の干し方を模したものと伝わる。同地区は全国で唯一、ヨズクハデの制作を継承していて、市の有形民俗文化財で、国の文化審議会の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」にも選ばれ、地域に伝わる歴史的な景観である。

 同地区は世界遺産・石見銀山遺跡の中核地域と銀の積み出し港である同町の沖泊や温泉津を結ぶ街道の中間点の宿場町として栄えた。戦後最大で300基近く建っていたが高齢化の進展で年々減少。現在は秋の収穫期間に、コミュニティ「よずくの里」会館の周辺に、のべ20基程度が姿を見せる。今年は20日すぎにはほとんどが解体予定。

 毎年、地元の温泉津小学校の児童や地元団体による都会地交流イベントで訪れる人たちが住民と一緒になって組み上げるなど、地域活性化の源にもなっている。同保存会の中井秀三会長(68)は「石見銀山や銀山街道の景観を引き立てる存在なのでその姿を見てほしい」と話す。

 ~メ モ~

 ◇駐車場 コミュニティ「よずくの里」会館にあり

 ◇問い合わせ 湯里まちづくりセンター、電話0855(65)3038

2012年10月17日 無断転載禁止