レッツ連歌(下房桃菴)・11月8日付

(挿絵・カールおじさん)
 仲裁をして二人から恨まれる

それが悲しい親の宿命     (松江)庄司  豊

同体と見てする取り直し    (松江)川津  蛙

大岡さまのマネしても無理   (出雲)原  陽子

正しいことを正しく言う奴   (出雲)津戸 弘光

日中日韓米は静観       (松江)余村  正

良くも悪くもそれが先生    (松江)中西 隆三

喧嘩の元はアンタのことだよ  (雲南)佐藤 敬子

給料上げてくれないからです  (雲南)難波紀久子

微妙に違うケーキの体積    (松江)多胡 誠夫

犬のそぶりも読めぬバカもの  (益田)石田 三章

子どもの喧嘩におっさん何やね (松江)木村 更生

めげず続ける街の見守り    (松江)森  敦子

切り直し分食べた母さん    (益田)小倉  豊

隣近所に噂バラまき      (松江)野津 重夫

職退いて持てあます暇     (松江)佐々木滋子

息子よお前はどっちの味方だ  (松江)学園 花子

八方美人すぎたからです    (松江)本田  章

あのとき別れておけばよかった (美郷)遠藤 耕次

また旅に出るフーテンの寅   (益田)吉川 洋子

大声出せばストレス解消    (江津)江藤  清

それぞれ他にいい人がいて   (雲南)横山 一稔

ズバリ当たった今日の運勢   (益田)石川アキオ

巌流島の武蔵小次郎      (松江)田中 堂太


           ◇

 ケーキを分けるというのはむずかしいものです。体積を等分するなんて至難のワザ。まして、イチゴが載っていたりしたら…、誠夫さんのご苦労、よく分かります。

 それだけでも恨みを買うのに、豊さんの母さんは、なんとまあ大胆な! もっとも、これで兄弟喧嘩はめでたく治まることでしょう。連合軍は強い。

 重夫さんの句は、夫婦喧嘩かなにかをいったんはうまく治めたのですが、その後がいけない。隣近所に個人情報をまき散らす。もっとも、これも、二人してこの男(女?)を恨んでいるうち、夫婦仲はいよいよ円満になるのかもしれません。

 今なお人気衰えぬフーテンの寅さん―。妹夫婦にチョッカイ出して、騒ぎはますます大きくなる。ついには「博、さては貴様インテリだな」なんて捨てぜりふ―。そんな場面があったかどうか、私は覚えておりません。が、いかにもありそうでしょう。

 この世界では、ある、ということよりも、ありそう、ということのほうがずっと大事なのです。それをむずかしいことばで「リアリティー」と申します。インテリですから…。

 アキオさんの句なんかもそうですね。もめごとに注意、なんて、実際そのとおり「今日の運勢」に出ていることもないでしょうが、いかにもリアリティーがあります。

 なお、この句、「仲裁」そのものからうまく離れた点にも、いたく感心いたしました。

 …あ、今この原稿を書いていたら、「山田洋次監督に文化勲章」というニュースが飛び込みました。まことにおめでとう存じあげます。

 なおうれしいことに、安野光雅さんが文化功労者に選ばれなさったとのこと。安野さんには、以前、NHK松江開局記念番組で、私の「付句道場」をおもしろいとお褒めいただいたことがあります。

           ◇

 さて、熱燗(あつかん)の恋しい季節となりました。そこで、次の前句は、

  造り酒屋に婿入りをする

 桃菴センセの果たせなかったこの夢を、楽しい五七五で、めでたくかなえてください。

2012年11月8日 無断転載禁止

こども新聞