紙上講演 日本経済大教授 後藤俊夫氏

後藤俊夫日本経済大学教授
 不況に負けるな!地場企業が成功する6つの定石

 「公器」の考えが老舗生む

 島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が19、20の両日、松江、米子市内でそれぞれ開かれた。創業以来、長年にわたって安定した業績を保つ企業の研究を続ける日本経済大学(東京都)の後藤俊夫教授(70)が「不況に負けるな! 地場企業が成功する6つの定石」と題し、成功の秘訣(ひけつ)を紹介した。要旨は次の通り。

 日本には、創業200年以上の「長寿企業」が4千社ある。2位のドイツは1850社。日本は倍以上で「長寿企業大国」だ。100年以上の「老舗企業」も5万社ある。

 成功の裏には、長期的視点に立った経営▽持続的成長の重視▽強みや優位性の強化▽利害関係者(顧客、従業員、取引先、地域)との長期の関係性▽リスク管理▽事業承継の強い意志―という6つの定石がある。

 さらに、7つ目の定石として「企業は社会の公器」という考え方を挙げたい。儒教思想の韓国では、長く商いを続けるのは恥だと考えられている。イタリアでは、会社が黒字を出したら、経営権を売ってしまう文化がある。長寿、老舗企業は日本が誇る”国宝“だ。

 東日本大震災で被災した老舗企業の中には、「今こそ地域に恩返しすべき」と、在庫品を避難所に無償提供し、社長が事業再開時に「ボランティアも本業」と、社員に訓示したケースもあった。

 経営環境が厳しい今こそ、原点に立ち戻る最大の好機と言える。皆さんには「企業は誰のものか」を考え、誇りを持って頑張ってほしい。

2012年11月21日 無断転載禁止