出雲商業高校 地域の未来のために

学びを広げ深めつなげる

 島根県立出雲商業高校は出雲市大津町、出雲弥生の森博物館に隣接し、出雲市が一望できる丘の上にある。全校生徒458人のほとんどが部活動に励み、運動部も文化部も活発で明るく活気に満ちている。積極的に地域に出かけ、自主的に学ぶ力を身に付けていくためにユニークな教育を展開している。社会と向き合い課題を解決していくために必要な能力や、社会の変化に対応でき、地域社会において主体的に行動できる人間力育成を目指している。毎週月曜日のビジネスマナーの実践は、地域の仕事人の講話も取り入れキャリア教育の原点として注目を浴びている。生徒・教職員が一つになり多角的にアクティブに進化する「チーム出商」は地域の皆さまに愛され、ともに学べる学校を目指している。


出商デパートでの鮮魚店舗運営の参考にしようと、境港水産物地方卸売市場を見学する3年3組の生徒たち
境港のセリ見学

鮮魚店舗運営の19人


 出商デパートで鮮魚店舗を運営する3年3組の19人の生徒と教員らが11月12日、境港水産物地方卸売市場へ早朝見学に行きました。五感を研ぎ澄まして、実際に鮮魚を取引している本場の活気あふれる市場を体感し、店舗運営に生かすことが狙いです。

 市場では水揚げされたばかりの大量のカニや、新鮮な魚のセリ現場を見学することができました。初めてのセリを目の当たりにし、日ごろ何げなく食べている魚がこのように取引されているのかと、とても新鮮に映りました。

 また、想像以上に活気や明るいあいさつがあふれ、ビジネスマナーを学んでいる商業生にとってはとても刺激的でした。実社会ではこのように常に快活な姿が求められていることを学びました。

 この見学で、生徒はどのような店舗や販売をしたらよいかとか、大切なことにたくさん気付くことができたと思います。この気付きを共有し、まずは12月1日、2日の鮮魚店舗運営に大いに生かし、来場されるお客さまを元気に明るく、堂々としたおもてなしにつなげます。


とても大変な仕事

 早朝6時半に学校を出発しましたが、魚市場で働いておられる人はそれよりも早くから仕事されておられることを知り、とても大変な仕事だと思いました。市場ではカニや見たこともない魚もいました。中には生きているものもいて、新鮮さを感じました。

 セリでは、大卸と呼ばれる方が早朝から大きな声を出しておられました。また、箱詰め作業や運搬作業は素早い動きで、少しでも鮮度を保つための工夫が見られました。私たちが企画したマグロの解体ショーでも、市場に負けないよう鮮度を保つために素早い作業を目指します。

 (店長・福田寛太)


市場の知識身に付け

 私たちは実際にセリの様子を見たり、魚のことについての説明なども受け、市場の活気を感じることや知識を身に付けることができました。

 特に印象に残っているのは、水揚げされている魚の量が多い割に、魚の消費量が少なくなってきているという現状です。デパートでは、店舗運営やマグロの解体ショーなどのイベントを通じて、新鮮で健康に良い魚をたくさん買っていただけるように工夫をしていきたいと思います。

 また、私たちのクラスの長所である、明るく元気なところを生かし、実際の朝市の空気に負けぬよう実践します。私たちの学びをいつも支えていただいている地域の皆さまに笑顔になってもらえるように協力して頑張ります。

 (大國海斗副店長)



「縁札」を使って児童クラブの子どもたちと交流する家庭クラブや美術部メンバー
昨年商品化の「縁札」

発想法やデザイン勉強 古事記学び楽しさ拡大

 課題研究商業美術では、昨年商品化した「縁札」の商標権登録について学びました。知的財産に関する創造力実践力活用力開発事業の推進校になっており、発想法やデザインについての勉強を専門的に進めています。

出雲商高が商品化した「縁札」
 「神話博しまね」は11月に終わりましたが、5年前から継続している、ふるさと体感デザイン学習での神話や古事記の魅力を伝えるための取り組みは、縁札、神和てぬぐいの開発をベースに発展させています。今年の試作品も完成間近です。      (成相徹哉)

 「縁札」は遊びながら楽しく古事記が学べるし、イラストがかわいくて子どもたちに人気です。大阪や東京からもファンレターが届いています。「縁札かるた」とか、新しい遊びを考えて広まっています。家庭クラブのメンバーや美術部員がボランティアで大津第一、第二児童クラブ、地元保育園などと交流しました。今後も縁札で古事記を伝えるインタープリテーターとして出かけますので、どうぞ声を掛けてください。(日下奈月)



島根県高校駅伝で、2位でゴールする陸上部女子チームアンカー
陸上部

コツコツと努力つなげる

 出雲商業陸上部といえば、以前全国高校駅伝で9年連続たすきをつないできた伝統があります。ここ数年は近隣の強豪に譲っていますが、それでも毎年駅伝に向けて一日も休まず早朝、放課後とハードな練習メニューをこなし黙々と走り続けてきました。

 杉原加代選手を育てた山根耕二監督は、とても厳しいので普段は褒められることがないのですが、先日の高校駅伝を良いレースだったと振り返り、準優勝という結果を選手とともに喜んでくれました。たくさんの応援の中、チームが一つになって最後まで諦めず頑張ることができました。

 これからも出商陸上部の伝統である最後まで諦めず走り続ける精神を後輩たちにつなぎます。(部長・高橋亜季)



NIE・図書館活用教育

8紙読み比べ日常的に活用

 出雲商業高校はNIE実践校になって4年目で、図書館活用教育・探求型学習をNIEとともに推進しています。授業互見の制度があり、全ての教員が公開授業をして研さんし合い、生徒とともに学ぶ姿勢を大切にしています。英字新聞も含め8紙が日常的に活用され、図書館が教科領域を超えて学びをつなげる役割を果たしています。

 私たち図書委員会では、毎朝交代で職員室や談話室前、教室棟の机などに毎朝8紙の新聞を配置し、読み比べのコーナーなども作るなど自主的に活動しています。

 3年生は2カ月間続けて朝10分間、新聞のコラムに目を通しました。また、キャリア教育や国語でスクラップノートの課題があり、多くの記事を読み、多角的に問題を考えるようになりました。小論文対策で放課後はたくさんの利用があります。

 新聞の整理や活用のための企画を考えることは大変ですが、新聞に親しみが持てるようになったし、これから社会に出ていく上で必要な習慣が身に付いてよかったと思います。これからも図書委員会を中心に積極的に新聞活用を働き掛けます。  (森山果歩)



出商デパート

最高の笑顔届けたい

 今年も12月1日、2日、「愛とご縁をあなたにお届け~THE BEST SMILES FROM IZUSHO~」をテーマに「第7回出商デパート」を開催します。マグロの解体ショー、神戸川子ども太鼓などイベントも盛りだくさんです。日ごろの学びの成果を、心からの笑顔とともに地域の皆さまにお届けできるよう頑張っています。ぜひ皆さまで私たちの最高の笑顔に会いに来てくださいね。お待ちしています。

 (デパート社長・山崎洋征 副社長・永見歩、伊藤希、石田みか)



ハイスクールサミットin東北に参加、被災地を視察
3・11を忘れない

被災地の高校生と交流

 僕たちは7月31日「ハイスクールサミットin東北」に参加してきました。昨年度、ヤマタノオロチ神話に登場する箸をモチーフに、水害の神様でもあるスサノオに復興の願いを託し、オリジナル檜(ひのき)の素木箸を発案・創作し、被災地の高校生にメッセージを添えて250膳をプレゼントしたことが縁で、東北行きが実現しました。

 仙台に到着してすぐに被災地の現状を視察しました。今まで報道などで映像を見たりするのと違って、いまだに津波の傷跡が残っている建物や、家屋が流されてしまって見渡す限り荒れ野原の風景の前で、体が震えました。この時代に生きていて、今この時、被災地をこの目で見て体に覚えたことは一生忘れないと思います。

 ワークショップでは全国から集まった高校生がそれぞれのテーマで真剣に意見を出し合い、知事、市長や一般市民の皆さまの前で意見発表もしました。

 福島をはじめ東北にはまだまだ困難なことがたくさんあって、それに立ち向かっている高校生もたくさんいます。この貴重な体験を通じて、僕たちも今後、まずは小さなことでも社会との関わりを大切にアクションを起こしたいと思いました。そして、震災のこと、原発のことを風化させないで伝え続けたいと思っています。

 今年は「縁札」を現地の高校生にプレゼントすることができました。このようなご縁をいただき、東北行きを支援していただいた御船組様、現地でお世話してくださった方々に心から感謝します。 (渡部慎也、原裕佑)



「出雲の生物多様性×サステナブルデザイン考」

未来につなげる思考を

 3年生のビジュアルデザイン・課題研究商業美術の選択生が11月初旬~中旬、出雲科学館で開催された「出雲環境ミュージアム」に足を運び、身近な自然や環境について問題意識を高めることができました。

 「科学館は小、中学校の理科学習でお世話になった施設で、親しみやすい雰囲気の中、身近でいろいろな生き物や、テーマに沿って工夫された展示物を見て楽しく学ぶことができました(原詩緒梨)」「岡田先生のお話しを聞いて、出雲の生物多様性は魅力的であることを改めて実感しました(吉田拓矢)」などが感想です。

 また、続いて11月9日には、生物多様性研究者でデザイナーでもある奇二正彦氏の特別講義「生物多様性×デザイン」を受講。足元の自然をじっくり観察し、自然から学ぶ姿勢が大切だという強いメッセージを伝えていただきました。これからは私たち自身が出雲の生物多様性を私たちの感性でデザインし、伝えていきます。

 また、これから出雲の自然・環境についてもっと勉強して、歴史や文化との関連性も学びながら、未来につなげるArt&Designを実践していきたいです。(多々納志穂)



編集後記

 NIE活動の成果の一つ『青春はつらつ新聞』製作は今年で3回目です。普段の学びや活動を言葉でまとめて情報発信することはとても難しかったですが、新聞作りを通して、私たちは出雲が大好きだということを実感しました。また、出雲商業高校が多くの地域の方々に支えられ、夢に向かって前進している学校であることにもあらためて気付きました。

 今後、私たち3年生は卒業後も社会人として出雲に残って頑張る仲間も多いです。後輩たちとともに、出雲商業高校が地域社会のため問題意識を持って学びを深め、広げ、未来につなげていく存在であってほしいと思います。

 最後に今回の紙面作りをはじめ、出雲商業高校を応援してくださっている全ての方々に心から感謝申し上げます。

 (編集委員・図書委員会)

2012年11月29日 無断転載禁止

こども新聞