レッツ連歌(下房桃菴)・12月13日付

(挿絵・FUMI)
 造り酒屋に婿入りをする

後悔はしないと決めた下戸の恋 (松江)相見 哲雄

この蔵でいつもしていた隠れんぼ(益田)小倉  豊

持参金代わりに特許酵母菌   (益田)吉川 洋子

腹の子は日ごと大きくなるばかり(大田)柴 わん子

先代も先々代もマスオさん   (大田)掛戸 松美

好きだったワインの瓶はしまい込み
               (美郷)芦矢 敦子

父さんが用もないのに日参し  (松江)桑谷  夢

国政をめざしてまずは第一歩  (雲南)佐藤 風子

商店街維持してくのも大仕事  (松江)山崎まるむ

とりあえず販路拡張任されて  (浜田)松井 鏡子

アラフォーの手練手管に惑わされ(大田)丸山 葛童

八代も続いた蔵が傾いて    (松江)持田 高行

高校のときから恋の鞘当てし  (松江)余村  正

コレカラハ日本ノ文化学ビマス (雲南)板垣スエ子

青い目のしゃべるカタコト人気呼び
               (松江)高木 酔子

ほんとうに君にホレたと言いとおし
               (益田)可部 章二

婚活と就活一挙にかたづいて  (松江)水野貴美子

番頭を短縮1に登録し     (益田)石川アキオ

前のことなんにも知らぬ三人目 (安来)根来 正幸

お義父さん家がグルグル回ります(松江)森  笑子

こいさんが一目惚れした杜氏さん(浜田)勝田  艶

いとさんがペットショップで一目惚れ
               (松江)多胡 誠夫

下戸だけどバイオ技術を見込まれて
               (松江)林谷 悦子

肝臓を大切にせよ親父より   (松江)本田  章

天気雨羽織袴をそぼ濡らし   (出雲)原  陽子

伝統に新しい風吹き込んで   (松江)田中 堂太

太陽の恵に惚れたピエモンテ  (松江)岩田 正之


           ◇

 私の果たせなかった夢をかなえてください、とお願いした今回の付句―。夢さんの作品を見て、急に元気が出てまいりました。そういうテもあったのか…。ガンバリます。

 それにしても、章二さんの句はミエミエですね。「君にホレた」と一言いえば済むものを、「ほんとうに」が付くから、ほんとうでなくなる。やっぱりお酒が目当てなのかしら。

 そんなふうだから、仕事のことは番頭任せ、となるのは当然。それを今風に「短縮1」と表現したアキオさんのセンスは抜群。

 あげくの果ては「お義父(とう)さん家がグルグル回ります」なんてことになる。この店、早晩つぶれますナ。気の毒なことです。もっとも、「お義父さん」ものんべえだったら気兼ねはいらない。「お前みたいなバケもんは出て行け!」

 …ええ、お後がよろしいようで。

 人間かと思ったら動物だった、という句作りは、連歌では珍しくもないことですが、誠夫さんのようなアイデアは、他に一句も見られませんでした。だれもが知っているテクニックも、ここぞというときに使えるかどうか、なのですね。

 もう一句、陽子さんの「天気雨」も動物。狐の嫁入りならぬ「婿入り」ですか。ただし、この場合は、お嫁さんのほうは人間、と取ったほうが、おもしろそうですね。

           ◇

 それでは、来年の新春特集の前句、

  ヤマタノオロチ苦笑いする

 ヤマタノオロチが大笑いするような愉快な五七五を、この句に付けてください。

 これまで人の句を楽しむだけだったというあなたも、来年からは楽しませるほうに回ってくださいね。

2012年12月13日 無断転載禁止

こども新聞