(26)木谷石塔(川本)

650年以上前の南北朝時代に建立され、紀年銘が残る多層塔としては山陰最古という木谷石塔
 多層塔として山陰最古

 650年を超える長い年月、風雨にさらされながら凛(りん)として立つ高さ約2・5メートルの「木谷(きだに)石塔」。南北朝時代の1358(延文3)年に川本町川下の木谷地区に建立され、紀年銘が残る多層塔としては山陰最古を誇る。

 もとは九重の塔だったが、現在は一層と塔上部の相輪を欠く。1972(昭和47)年の47水害で江の川の洪水被害を受けた地区全体のかさ上げ工事に伴い、81年に解体され、翌年、約1メートル上がった元の場所に再設置された。

 その際の調査で、石塔の基礎部分にあたる石に残る銘文を拓本にしたところ、建立年が判明。地下に埋められていたかめの中から経文が風化したと見られる灰と木炭が見つかり、石塔内部にも梵字(ぼんじ)の経文36枚と経石89個を収納。90年に県指定有形文化財となった。

 指定当時に町教育長を務めていた森脇登さん(85)=同町川下=は「先人の仏教信仰が表れている。天下泰平や国家安全を望み、戦乱などの犠牲者を弔おうと、願いを込めて納めたのだろう」と思いをめぐらせる。

 木谷地区の住民たちが毎年8~9月、お坊さんを招いて石塔に祈りをささげている。地元の谷川紀男さん(72)は「石塔が変わらずに立ち続けていることが、地域の平穏や安心につながっている」と愛着を込めた。

2012年12月13日 無断転載禁止