3年目の横田高「だんだんカンパニー」

架空会社通じ地域を活性化

東京で手作りジャム販売

 島根県立横田高等学校の「だんだんカンパニー」(社長・佐藤勇人校長)は、同校の2年生1.類型クラス73人が社員となり、地域活性化を狙いに活動を行う架空の会社である。その活動も今年で3年目となり、昨年と同様「東京でのブルーベリージャム販売」を目標に掲げ、ブルーベリーの収穫、ブルーベリージャムの製造、販売を生徒自ら行った。今年の10月16、17日の両日、昨年同様、東京の「にほんばし島根館」に加え、「池袋こだわり市場ISP店」でブルーベリージャム約500本を売り上げた。

 一昨年結成された「だんだんカンパニー」は、地域活性化を目指し活動してきた。今年は製造販売のノウハウを学びながら奥出雲をPRすることを最終目標に、昨年同様「東京でのブルーベリージャム販売」という目標を達成するべく活動してきた。

 本年度は、7月14日にブルーベリーを生徒自身で収穫し、7月23日に起業式を行い、企画宣伝部、購買部、デザイン部、市場調査部、経理部の5つの部に分けられた。各部が自分たちの役割を果たし、東京でブルーベリージャム販売をするために夏休みなどを使って活動し、努力を重ねた。

 東京での販売当日は、今まで調べたことや昨年の反省を生かし、生徒全員が協力して「にほんばし島根館」「池袋こだわり市場ISP店」の2カ所でブルーベリージャムの販売を行った。

 最初は緊張からか、なかなか笑顔で呼び掛けができなかったが、お客さんとコミュニケーションを取っていくうちに自然と笑顔で接客でき、販売することができた。

 「だんだんカンパニー」を通して、本年度も社会の仕組みを深く考えたり、製造・販売をすることの難しさを経験することができた。その一方で「だんだんカンパニー」の社員皆で協力し、生徒一人一人が充実した活動となった。そして、これからの将来の視野を広げるよい経験となった。

収穫・製造

甘さ控えめ無添加

 7月14日、「だんだんカンパニー」の社員になって初めての活動として、ブルーベリーの収穫を行った。ブルーベリーは、赤紫色のハイブッシュ系で、甘酸っぱい大粒のもの。当日は奇跡的に雨がやみ、ブルーベリー農園の方の協力のもと、ブルーベリーを食べながらも、手摘みで100キログラムを収穫することができた。

 7月末には地元のジャム作りのベテランの方々のサポートを受け、ジャム加工作業を行った。作業では特に、ジャムが甘すぎないようにするため糖度を40度に統一することや、瓶の減菌処理、瓶にふたをする際に空気が入るのを防ぐ作業に苦戦した。また、ブルーベリーの食感を残し、添加物を一切使っていない甘さ控えめのジャムにこだわった。

 ジャム作りは暑い中、3日間にわたり、悪戦苦闘しながらもおのおのが分担した作業に一生懸命取り組んだ結果、180グラム入りのブルーベリージャム500本が完成した。


グループ分け

情報交換を行い作業の連携図る

 本年度の「だんだんカンパニー」の一番の活動は、ブルーベリージャム販売に向けての準備だった。約70人の生徒社員をグループに分け、購買部、市場調査部、企画宣伝部、デザイン部、経理部の5つの部を設けた。

 購買部は地元企業から商品知識のレクチャーを受け、東京での販売の予行練習として「神話博しまね」が開催されていた大社にある「暖簾(のれん)」で事前販売を行った。市場調査部は市場としての東京と島根を比較し、それぞれの場所の特色を調べ、調べたことを冊子にまとめ、各生徒社員に配布した。

 企画宣伝部は宣伝活動として、生徒自らが地元のケーブルテレビ「ジョーホー奥出雲」に交渉をし、活動風景を放送した。デザイン部は市場調査部の資料を基にラベルのデザイン、ポスター制作など、生徒社員同士で話し合い活動を行った。

 経理部は製造原価、販売原価を把握し、最終損益計算書の作成を行った。

 このようにして、ブルーベリージャムを完売するという目標に向けて、各部で情報交換を行いながら組織として連携を図った。

事前研修

会社や販売の仕組みは?

 ジャム製造・販売の準備作業を進めていくうえで、普通科高校に通う私たちだけに、どうしても商業分野の知識が明らかに不足していた。この状況を克服するために、会社の仕組み、販売の仕組み、方法など専門的な知識を身に着けようと、(有)エィ・ディ・プランズの山内祥弘さんを講師に招き、事前研修を実施した。

 計6時間と、昨年度より半分近く短い時間だったが、研修を通して活動方針、具体的な各部作業の進め方もはっきりし、会社組織の仕組み、維持運営、奥出雲の地域資源などについての講義を受け、社員全員が基礎的な知識や会社組織の一員として働くという意味を、多少なりとも身に着けることができた。

 それらはその後の各部に分かれての活動、東京でのジャム販売で大いに生かされ、事前研修を行った意義は大変大きかった。

東京販売

商売の難しさうれしさ学ぶ

 10月16日、17日の2日間、昨年に引き続き「にほんばし島根館」に加え、今年は「こだわり市場ISP店」でも販売を行った。こだわり市場は化学合成農薬や化学合成肥料、化学合成添加物などを極力含まない、主に国内産の食品を扱う専門店である。

 今回は、ブルーベリージャムの他に地元の食品メーカーから仕入れたえごま油、とうがらしも販売した。試食として、ジャムを載せたヨーグルトやクラッカーを用意し、お客の呼び込みを図った。

 最初はなかなか立ち止まってもらえず、売れないのではと不安だったが、一つまた一つと売れていくにつれ、緊張した顔も自然な笑顔に変わっていき、大きな声で呼び込みもできた。「遠い所から来てるね。島根ってどんな所?」と、お客さんとの会話も弾み、島根県をアピールすることもできた。

 また、10月21日には奥出雲で販売する機会があり、地元の方々にも手にとってもらうことができた。

 東京販売を通して、生徒たちは商売の大変さや商品を手にとってもらえるうれしさを学んだ。

総売り上げ

500本完売で30万円

 「だんだんカンパニー」が10月16、17日の「東京でのジャム販売活動」で販売したブルーベリージャムの売上本数は約400本だった。これに地元の商工祭りなどでの販売分を加えると、総売上本数は約500本、一部を割引販売したため、総売り上げは約30万円だった。

 昨年は170本を販売したが、今年は販売箇所を2カ所に広げ、製造本数も倍の400個を東京に持ち込んだ。結果は、2日目の昼すぎには完売するという、自分たちの想像以上の売れ行きだった。



編集後記

 このたび新聞を作製するにあたっては、初めての作業ということで戸惑いもありましたが、少しでも多くの人に「だんだんカンパニー」の活動を知っていただけたらと思い、各自懸命に作業しました。

 だんだんカンパニーの活動を通して、私たちは進路を考えるうえで大変貴重な経験をさせていただきました。準備から販売、そして新聞作製まで楽しく活動できました。

 活動を支えてくださった方々への感謝の気持ちを忘れずに、後輩たちにも私たちが伝えられることを伝えていこうと思います。
 (金山唯奈、細木絵梨香、山田友梨、吉岡真由美、吉川巧海、森田大介)

東京の「にほんばし島根館」でのブルーベリージャム販売で試食を呼び掛ける生徒
ブルーベリージャム作りに励む生徒たち
電話で店との交渉に臨む生徒
会社や販売の仕組みなどを学ぼうと、講師を招いて行われた事前研修
東京での販売ではブルーベリージャム400本を売り上げた
「青春はつらつ新聞」編集委員メンバー

2012年12月21日 無断転載禁止

こども新聞