紙上講演 共同通信社論説副委員長 川上高志氏

共同通信社論説副委員長 川上高志氏
課題山積する安倍政権

経済再生の命運市場に

 山陰中央新報社米子境港政経クラブの定例会が29日、米子市内であり、共同通信社の川上高志論説副委員長(53)が「課題山積する安倍政権」と題し講演した。要旨は次の通り。

 安倍晋三首相の注目点の一つは「人間は60歳近くになり変身できるか」。性格は変わっていないが、第1次安倍政権の挫折と民主党政権の混乱を教訓に、謙虚な政権運営に変えた点は評価できる。

 二つ目は本心を隠した政権運営ができるか。所信表明演説の内容は経済再生、震災復興、外交に絞り、安全運転に徹した。本来やりたい憲法改正や教育改革は参院選に勝ってからという戦略。当面は本心を隠し、経済再生に専念するだろう。

 その経済政策は▽大胆な金融緩和▽公共事業中心の財政出動▽成長戦略―の三本の矢で、円安株高の「安倍バブル」を起こす狙いだ。ただ公共事業の持続効果や、6月にまとめる成長戦略の中身は未知数。市場に命運を任せた政権である。

 参院選までのヤマ場は、2月の日米首脳会談。国内で反発が強い環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加などにどう言及するかだ。

 首相にとって参院選は、前政権時に大敗した2007年参院選のリベンジ。自民党が目標とする55議席は難しいだろうが、野党が連携しないようなら、決して不可能ではない。

 民主党に対する有権者の拒否感は、夏までには消えないだろう。人口減少社会では「成長戦略より富の分配」という、自公政権の対立軸が必要だが、民主党が対立軸になり得るかは疑問。日本維新の会は理念、行動がばらばらで分かりにくい。

2013年1月30日 無断転載禁止