紙上講演 政治経済評論家 徳川家広氏

政治経済評論家 徳川家広氏
激動グローバル経済の中の日本とTPP

円安は日中関係悪化反映

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が12、13両日、浜田市と益田市であり、政治経済評論家の徳川家広氏(48)が「激動グローバル経済の中の日本とTPP」と題して講演した。要旨は次の通り。

 環太平洋連携協定(TPP)はそれほど重要ではないと認識している。日米を除く交渉参加国の国内総生産(GDP)を全部合わせても、日本のGDPの7割でしかなく、日米関係さえしっかりしていれば問題ないことになる。ただし、グローバル経済が激変期にあることに目を向けておく必要がある。

 米国経済の衰退と国力の低下に伴い、ドル通貨を基軸にまわる今のグローバル経済は終焉(しゅうえん)に向かっている。米国の金融財政がいつ崩壊するか分からない状態にもかかわらず、日本がいまだに対米輸出でドルを稼ごうとしているのが問題だ。

 現在の円安や株価上昇は、安倍政権のアベノミクス効果とは言えない。円安は尖閣諸島を国有化した昨年9月から始まっていた。対中輸出がストップし、日中関係の悪化を懸念した円売りが進んだことによるところが大きい。株価上昇もそれにつられた市場の動きだ。

 金融緩和は原発問題と深く関係している。原子炉の寿命に伴う処理費用などで、電力会社に巨額の債務が発生し、これが国の財政も直撃する。克服するために、国全体でインフレに持っていかざるを得ないというのが、マクロ経済の実体だ。

2013年2月14日 無断転載禁止