レッツ連歌(下房桃菴)・3月14日付

(挿絵・FUMI)
◎人より早くやめる決心

明日からは妻のお店の御用聞き (松江)佐々木滋子

今ならばまだ一花は咲かせられ (浜田)山﨑 重子

ダイエットいくらやっても効果出ず
               (出雲)石飛 富夫

監督とコーチの顔を見た途端 (津和野)岡田 忠良

モテたいと連発してたオヤジギャグ
               (松江)桑谷  夢

下山する途中で天気回復し   (安来)小藤  充

古希前後ばかりが目立つ山の事故(松江)岩田 正之

限界と松井男の美学見せ    (松江)三島 啓克

来るなとも来いとも言ってこぬ会社
               (益田)竹内 良子

この夏の参院選に出る私    (松江)野津 重夫

年賀状今年限りと書き添えて  (松江)持田 高行

一時金ぜんぶ注ぎ込む宝くじ  (川本)栂野  菊

おふくろの介護認定3となり  (益田)石川アキオ

子育てを終えたら待っていた介護(出雲)矢田カズエ

止める者だれもいなくて腹が立ち
              (奥出雲)松田多美子

意地張ればどんどん上がるオークション
               (出雲)原  愼二

競り合った大間マグロは敵に落ち(松江)高木 酔子

オレオレと掛けた電話に母が出て(江津)花田 美昭

教科書を開くとすぐに眠くなる (松江)多胡 誠夫

バチカンでコンクラーベまたあるらしい
               (益田)吉川 洋子

先見の明とかいって農を捨て  (美郷)吉田 重美

万馬券一枚だけでヨシとする  (松江)田中 堂太

鉛筆がタバコに見える午後三時 (雲南)安部 小春

後輩にそっと胸中聞いてみる  (松江)門脇 正人

だってもう五回連続ボツだもん (松江)学園 花子

丸刈りを彼女が嫌う柔道部   (益田)石田 三章

古民家をひとりこつこつリフォームし
               (美郷)源  瞳子

ひとつだけ勝ち目のあった投了図(松江)相見 哲雄

入り婿の前掛け姿板につき   (美郷)芦矢 敦子

大食いの上には上がいると知り (大田)掛戸 松美

幸せにするから俺についてこい (浜田)勝田  艶


           ◇

 山で遭難しかけて、下山する途中で天気が回復したのなら、喜ばないといけないのですが、なにか損をしたような気になる、というのも分からぬでもありません。決意の固さにもよりますが…。

 多美子さんの句は、「人より早くやめる決心」とか、これはただ言ってみただけなのですね。ですから、だれも止めてくれなければ腹が立つ。

 小春さんの句―。いくらなんでも、鉛筆がタバコに見えるかと思うのですが、そういえば昔、職人さんなんかが、よくタバコの吸いさしを耳に挟んだりしておられましたね。一方、鉛筆を耳に挟むというのも一つの風俗だった。ですから、タバコを喫おうとして、つい鉛筆を口に、なんてことも、その当時ならあったかもしれません。いずれにせよ、「午後三時」がよく効いています。

 敦子さんの句は、大阪は船場あたりの大店(おおだな)のようですね。「入り婿」という設定にリアリティーを感じます。婿を取るのは、男の子に恵まれなかったからなのか。いやいや、一人息子が道楽者で、とうに勘当してしまって、などと考えるほうが、おもしろそう。

           ◇

 次の前句です。

  家に忘れてきた定期券

 進学や就職やで、この四月、初めて定期券を手にするという方も、大勢いらっしゃることでしょう。

 さて、どんな五七五をこの句には付けましょうか。

2013年3月14日 無断転載禁止

こども新聞